みなさん、毎年4月1日から6月30日まで狂犬病予防接種月間であることはご存じですか?
狂犬病予防法という法律で接種が義務付けられている狂犬病のワクチンですが、今年2月にワクチン接種を受けていない犬が人に噛みつき、けがを負わせた事件は記憶に新しいかもしれません。
群馬県伊勢崎市の公園で男女合わせて7人が犬に噛まれ怪我をした事件で、警察などによるとこの犬は狂犬病の予防注射を打っていないということでした。その後の検査で陰性だということがわかっています。

ペットを飼う人たちの声は…

この事件を受けてペットを飼っている人たちはどう感じているのか、ひるおびは都内のドッグランを訪れている方にインタビューしました。

50代主婦 
Q:狂犬病のワクチンを打たない飼い主についてどう思われますか?
A:「日本では今狂犬病が出てないからきっと大丈夫だと思って(ワクチン接種を)されてない方もいらっしゃるのかもしれないですけど、いろんな動物が外から入ってきて、いつ病気が入ってくるか分からないので接種しておいた方が安心かなと思います。」

60代女性 
Q:狂犬病のワクチンを打たない飼い主についてどう思われますか?
A:「無責任だと思います。自分のところだけで済む問題じゃないので、(ワクチンを)ちゃんと打っていただきたいです。」

Q:ドッグランなど、ワクチンを打っていないと入れないということに安心感はありますか?
A:「安心ですね。一緒に遊んでるときに間違って何かあったりするじゃないですか。そうしたときに、やっぱり狂犬病のワクチンを打っているということが分かっていると安心ですよね。」

やはり狂犬病のワクチンの未接種に不安な声が多く見られます。
では、狂犬病とはどういった病気なのでしょうか。

狂犬病とは・・・

狂犬病とは、狂犬病ウイルスを保有するイヌ・ネコ・コウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っかかれたりしてできた傷口からの侵入、および稀ではあるが、濃厚なウイルスによる気道粘膜感染によって感染する人獣共通感染症です。(国立感染症研究所より)
主な症状は、発熱・頭痛・おう吐・幻覚・けいれん・恐水症などで、最悪の場合、昏睡状態に陥ったり呼吸不全で死に至るなど、致死率100%の感染症とされています。

大阪府獣医師会によると日本で狂犬病の流行が記録されているのは18世紀以降で、八代将軍徳川吉宗が治めた享保年間(1716~1736年)には狂犬病の大流行がみられ、イヌ・ウマ・キツネ・タヌキなどが多数犠牲になったことが記されています。
1893年2月、長崎市に外国人が持ち込んだイヌから狂犬病流行が発生し、5月までにイヌに咬まれた被害者は76名、狂犬病による死者は10名に達しました。この間、市民はイヌを撲殺したため、殺されたイヌは735頭を数えたといいます。
また、1911年には東京で狂犬病が大流行し、その他地方でも感染がみられ、明治時代末期の狂犬病感染増加の傾向は大正時代に入ってより顕著となりました。
1918年に神奈川県で、1919年には東京都で集団予防接種を開始し、その効果は狂犬病のイヌおよび咬傷被害者の減少として現れました。
1922年には家畜伝染病予防法が制定されましたが、関東大震災による混乱により、狂犬病発生件数が726件にまで激増しました。1925年から飼い犬の予防接種と野犬の取り締まりが強化されたことにより、以降、明らかに発生件数が減少しました。
現在では、国内の狂犬病の発生がなく、オーストラリア、ニュージーランドなどとともに厚生労働省の狂犬病清浄地域に指定されています。

では、狂犬病ワクチンの接種率はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省によると1989年は99.2%でしたが、2022年には70.9%と30%近くも低下しています。
WHOのまん延を防ぐ接種率の目安は70%としており、このままでは目安を下回ってしまう可能性も。