被害者となる「遺族」とは誰なのか

「問われたのが殺人罪ということであれば、その被害者は殺害された赤ちゃんということになる」

記者からの質問に対する法律家の回答は、明快だった。

「あとは関係者、つまり残された遺族ということになる」

しかし裁判の中で、赤ちゃんの「父親」が誰であったのかについて明かされることは、終ぞなかった。ここでいう遺族というのは、殺害を実行したA女被告(当時)のことを指すのだろうか。心がかき乱された。

悲惨な結果を少しでも減らそうと、専門医は、精力的に草の根の活動を続けている。その一方で、赤ちゃんが産み落とされて亡くなる事件は、今もなお、後を絶たない。

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