「内密出産」に至らなかった2つの理由…
人知れず、医療的なケアを望むことのできない状況下、1人で出産することの危険性を「予見する能力がある」場合であれば、内密出産という手段は大きな救済になり得るのだという。
「基本『内密出産』を希望する女性は、やはり1人で出産するのは怖いんです。だから我々を頼ってくる、そうあってもらいたいんですけど」
しかし、何らかの事情でその「危険性の予見」が困難である場合には、事情が異なってくることになる。A女被告(当時)が「内密出産」に至らなかった理由も、そこにあったと指摘する。本人との面談を重ねた蓮田医師は、救済を妨げる障壁が大きく2つあったと見る。
「ひとつは、いわゆる心理学上の『愛着障がい』です。つまりは親子関係の悪さ。その背景には、虐待もありますし、それから過干渉という虐待もある」
「もうひとつは、本人に軽度の『知的障がい』とか『発達障がい』があったこと。それを理解しない親御さんとの関係の中で、そういった人たちが育っていくと、ああいう感じになってしまう。だから『愛着障がい』『発達障がい』『知的障がい』その“ボーダーライン”が難しい」