「これは法廷では言えなかったですけども…。『赤ちゃんポスト』には、いわゆる司法に関係する公務員の方が、2回来たこと(利用したこと)がありました」

証言に立った医師の口からは、思いもよらぬ言葉が飛び出した。

そして「愛着障がい」「ボーダーラインの知的障がい」「自己責任」「自助努力」…。浮かび上がってきたのは、想像を超えた様々な問題点だった。

(この記事は、前編後編のうち、前編です。事件の経緯や裁判の記事も、合わせてご覧ください)

浮気相手との間に妊娠… 出産、そして遺棄

2022年4月13日、愛媛県新居浜市で、産み落とされたばかりの新生児が近所の竹やぶに放置され、殺害されるという痛ましい事件が発生した。

「交際相手とは別の男性との間に妊娠が発覚したことから、交際相手や同居する家族に浮気がばれることを恐れて犯行に及んだ」(裁判の冒頭陳述)

松山地裁で行われた裁判では、母親のA女被告(当時)に対して、懲役4年の実刑判決が言い渡された。

裁判の中では、A女被告(当時)が過去にも自宅のトイレで赤ちゃんを産み落としていたことが明かされた。