「技術と体力がないとどんな心を持ってても通用しない」

石井アナ:プロに転向して最初のマスターズ(2014年)。この時の気持ちと今のゴルフをやっている時の気持ち。もちろんマスターズチャンピオンになられて見える景色も変わったと思いますけど、違いってあるんですか?

松山プロ:あると思いますね。やっぱりこのときは、「上を上を」って思って、ずっとそこしか見てなくて。試合をやっていく中でも、諦めるじゃないですけど、上手くいかなくても「どうにかしよう、どうにかしよう」と必死に結果につなげようとしてたんですけど。今はやっぱりうまくいかないってなると、まず技術をどうにかしたいなっていう。結果じゃなくて、そっちに走っちゃってる部分がある。長い期間アメリカでやってる中で結果を求めてずっとやってたところで、その根本的な技術が崩れてしまってるんで、それでやっぱ先に技術をどうにかしたいっていう風に走っちゃってるんで。今この時の気持ちを早く戻さないと、「結果を、結果を」っていう風になっていけば、もう少しまた変わったところが見れるんじゃないかなとは思ってますけど。

マスターズ2021優勝時の松山英樹プロ

石井アナ:深いですよね。そういうさっきもあった諦めちゃう部分が2023年はあった。諦めちゃうっていうのはどういうことなんでしょう?

松山プロ:試合中に優勝を目指してやってる中で、ちょっとこれは優勝は難しいかなと思った時の気持ちの持ち方が、前なら「トップ5、トップ10には絶対にいたい」とか、そういうのがあったのが、ちょっとずつそこじゃないところに、結果より自分のゴルフをどうにかしたいという方にいって。やっぱりそうすると結果もついてこなくなるんで、気持ちはちょっと結果と離れちゃってるんで。そこはやっぱり最近の中で一番悪い部分だなっていうのは自分でも分かってますし。それをどうやったらそこに戻るのかなとか分かんないですけどまだ。やっぱ技術的に落ち着いて戦えるものが作れれば、多分戻ってくるんじゃないかなとは思ってますけども。

石井アナ:よくやっぱアスリートだとそういう時に、心をもっとこうしてメンタルトレーニングしてとか言いがちだと思うんすけど、松山選手は今、技術っていう、心技体あったら心じゃなくて、技術だって今はっきりとおっしゃったんですけど。

松山プロ:そうですね。そこがあっての心だと思うんで。

石井アナ:技術あっての心・・・これはどういう?

松山プロ:やっぱり若い時はその心、気持ちだけでどうにかできた。それは若いんで、どうにかしようと思ってできたのが、やっぱりもう年取ってくるにつれて・・・やっぱり色んなものを経験した中で、しんどくなってくる時に頼れるものは技術しかないと思いますし、それは体力もそうですけど、技術と体力がないとどんな心を持ってても通用しないものは通用しないので。