「この話題になると涙が出てきてダメなんですけども」、参議院議員選挙中に銃撃され亡くなった安倍元総理について尋ねた際、昨年6月の議連の会合で安倍氏と笑顔で会話する2ショットの写真をまえに、甘利明・自民党前幹事長の表情は、だんだん涙目に変わっていった。

■安倍さんはひるむことなく政治的リスクをとって実行した人

ーーやっぱり安倍元総理の話をしなければいけません

自民党 甘利明 前幹事長:
日本だけでなく世界の喪失感の大きさというのは衝撃ですよね。国を挙げて喪に服すると宣言をする国があったり、ホワイトハウスが真っ先に半旗を掲げたり、もう日本の喪失じゃないんだ世界の喪失なんだと。こんな人って今まで聞いたことないですよね。

“政治家の評価は歴史が評価する”と言われます。これは最たるものですよね。偉大な政治家を失ってしまったと思います。

安倍元総理の何がすごいかと言うと、やらなければならないけども政治的なリアクション・リスクが大きいと、普通の政治家は怯んじゃうと思うんです。でも安倍元総理は「これをやらなければ日米関係がもたないよ」とか「これをやらなかったら中国に間違ったメッセージを送るよ」ということは、リアクションの大きさを無視してやるんです。これはなかなかできない。もちろんそれを支えるだけのコアの支持層があるから出来るということもあるんでしょうけど。

ーー平和安全法制があったから、ウクライナへのロシアの侵攻に関しても日本はやるんだぞと言えるようになったのですか?

甘利氏:

“アメリカがやってくれるのを傍観しているだけじゃないか”というアメリカ側の疑心暗鬼に対して、憲法の制約でぎりぎりまで、集団的自衛権も限定的だけど範囲内でやりますよと、アメリカ側が不信感をもっていたのを払拭した。安倍さんがよく「これがなかったら日米関係はもうもっていないよ」と言っていた。出来る人は彼以外いないですよ。

ーーただし、そういうことをやっていることが強権的だとか官邸支配だとか言われ、野党から反発がありました。また“桜”の問題などがあり、毀誉褒貶みたいなところがありましたね。

甘利氏:

もちろん政治家は蟻の入れる隙間もないくらい完璧にということは出来ません。自分が気をつけていても、秘書のわきが甘かったり、あるいはそこまで配慮がなかったりということで、政治家1人で完璧に対処できないところはあります。でも国家国民ということを考えたときに、何を残せたかというのは一番大事だと思うんです。そういう意味ではこの人以外にできなかったことをいっぱい残されました。これは歴史が評価していきますよ。