櫻田博克さん(52)はいま、地元の石川県珠洲市を離れ、150キロ南にある白山市で酒造りをしています。

櫻田酒造4代目 櫻田博克さん
「私も、作業の流れに乗れていないところが多いので、まだ邪魔している感じ」

その表情は、私が初めて出会ったあの日とは全く違っていました。

珠洲市で100年以上続く「櫻田酒造」の4代目。

櫻田酒造4代目 櫻田博克さん(石川・珠洲市 1月6日)
「こんな感じで、家族全員は無事なんですけど。酒蔵は全壊で、再起は不能状態ですね」

元日の地震で店舗と仕込み蔵が全壊しました。

櫻田酒造4代目 櫻田博克さん
「今年の酒づくりはもう、もちろんできないですし。困りましたね」

そんな櫻田さんに酒造りの場を提供したのが、親交のあった白山市の車多酒造。櫻田さんは車多酒造の設備を借りて自分の酒を造っています。

櫻田酒造4代目 櫻田博克さん
「本当に感謝ですね。車多社長やほかの杜氏さんには感謝しかない」

白山市での住み込み生活が始まった数日後。大学2年生の長男・愼太郎さん(20)です。父を手伝おうと、春休みを利用して駆けつけたのです。

地震後、初めての親子での酒造り。東京の大学で酒造りを学ぶ愼太郎さん。正月の帰省中、地震に遭いました。

櫻田さんの長男 愼太郎さん
「家もつぶれて、死ぬかもしれない地震だった」

生まれたときからすぐそばにあった酒蔵。地震の後、愼太郎さんはある決意を固めていました。

愼太郎さん
「蔵がつぶれたのは、もちろん寂しいですけど、皆さん、たくさん支援してくれて。マイナスとは思っていない。ここが新しい櫻田酒造の開始点。(Q.5代目ですか?)5代目です」

櫻田酒造4代目 櫻田博克さん
「これから酒蔵を建て替えるということになるんやけど、すぐにはもちろんできんやろうし。お前にも迷惑をかけると思うけど、また頼むわ。ごめんな。何でこんなことになったんやろうなぁ」
櫻田さんの長男 愼太郎さん
「仕方ない、地震は仕方ないよ」
櫻田酒造4代目 櫻田博克さん
「やっぱり酒はうまいよな、このうまみっていうかな。おいしい酒ができるとな、本当にうれしいしな。また酒造り、自分の蔵でできたらな」

酒蔵を失ったあの地震から3か月。親子は歩みを進めています。