門脇さんが気づかされたこと

現地に行く前と、パレスチナ、イスラエルのイメージは変わったのでしょうか。

門脇篤さん:
「友達ができたので、どこか遠くの出来事ではなく、自分事になりました。でも
、その接点は何も友達とまでいかなくても、もしかしたらオリーブオイルでも良いのかもしれません。自分が美味しいと思うもの、気に入ったもの、それが作られている地域のことは、自分に関わる事として具体的に感じられるんじゃないでしょうか。逆にそういった自分との接点がなければ、それが自分にもつながる事柄なんだと想像するのは難しいですよね」

シンディアナでのオリーブオイルのテイスティング

私たちの身近な例で、門脇さんは「いじめ」をあげました。

門脇篤さん:
「例えば、いじめがある、と聞いて『大変だなぁ』で終わってしまうものも、知り合いが関わっていれば、話は全然違うわけです。
世界で起こっていること全てに思いを寄せるなんて不可能ですが、実はそれらはひとつひとつ別個の問題ではなく、自分のそばにもある、つながった問題なのではないでしょうか。
パレスチナでずっと行われているのは、とんでもない人権侵害なわけですが、では私たちの周りでは人権がしっかり守られているのでしょうか。遠くの問題にため息をつくのではなく、自分の身の周りに目を向けることが、自分にできる確かなことなんじゃないかと気づかされます」

現地では、元イスラエル兵がガイドする告発ツアー「Breaking the silence(沈黙を破る)」にも参加し、イスラエル人との交流も印象に残ったと話す門脇さん。

門脇篤さん:
「“パレスチナ・レポート”を作ったので、次は“イスラエル・レポート”を作りたい
と思っています。どちらか一方ではなく、このどちらもが対等であることが何より大切なわけで、だとすればどちらか一方からの視点ではいけないなと思うからです」

※ドキュメンタリー映画「パレスチナ・レポート」(2023年制作)は現在非公開。
各地で上映したい人がいれば、ぜひ上映の機会を設けたいと門脇さんは話しています。