日銀は、大規模な金融緩和対策のひとつとして実施してきた『マイナス金利』を解除することを決めました。では、『マイナス金利』が解除されると、私たちの生活にどう影響するのでしょうか。
マイナス金利解除 家賃に影響?

良原安美キャスター:
みずほリサーチ&テクノロジーズの主席エコノミスト 酒井才介さんによりますと、主なメリットとして、預金につく金利が上昇する可能性があるということです。すでに検討しているメガバンクも出てきているそうですが、現在、普通預金の金利0.001%のところ、0.4%にまで上がる可能性があるということです。
一方で、主なデメリットとしては、住宅ローンの変動型金利が引き上げられ、利用している方は毎月の負担が増えていく可能性が考えられるそうです。

では、賃貸の場合、家賃に影響はあるのでしょうか。住宅ローンアナリストの塩澤崇さんによりますと「賃貸の家賃は上がる可能性がある」といいます。
一般的にワンルームマンションなどの物件は、投資目的で購入しているオーナーが存在します。このオーナーが物件を買うために主に利用しているのが、不動産投資ローン(変動)です。
例えばこのオーナーが、不動産投資ローン(変動)に月7万円払っている場合、マンション住人から家賃を月8万円もらうことで1万円の収益を得ることができます。
しかし、マイナス金利解除で、金利が上がり不動産投資ローンに支払う額が月3000円増えたとすると、金利上昇分の3000円を家賃に転嫁する可能性があるということです。

賃貸への影響は他にもあるといいます。住宅ローンアナリストの塩澤さんは「物価高騰で不動産価格が上昇し、庶民にとって家の購入が難しい状況。オーナー側が『多少家賃が上がっても出ていかない』と家賃を“高めに設定”する可能性がある」といいます。
ホラン千秋キャスター:
マイナス金利は賃貸や分譲も含め、住宅価格に影響があったのでしょうか。

TBS報道局 木戸誠人 経済部長:
今都心部で、億ションが次々と販売されていますが、不動産価格が上昇している背景には、長年続いたマイナス金利の影響があるのではないかと思います。変動型で0.3%など、極めて低い金利で多額のお金が借りやすくなり、結果的に不動産価格が上がったのです。
しかし今回、マイナス金利が解除されたことで、逆の動きになります。住宅ローン金利が上がり、ローンが組みにくくなれば、マンション価格だけではなく、住宅市場全体が落ち着いてくる可能性があると思います。
ホランキャスター:
ローンを組めないので、購入のタイミングをずらす人が出てくるかもしれません。そうなると不動産価格がどんどん下がっていくことになるのでしょうか。
木戸経済部長:
その可能性はあります。このあとの景気次第ですが、金利の動きは注意が必要です。
南波雅俊キャスター:
今後の利上げペースはどのくらいと想定されますか。
木戸経済部長:
これはまさに日銀 植田総裁のかじ取り次第ですね。景気が上昇し、インフレが進めば金利上昇のスピードは早くなるかもしれません。