「ビニ本」って憶えていますか。1970年代末期から80年代初期にかけて出版された成人向け図書。要するに「エッチな写真集」ですが、ビニール袋に入って中身が見えません。そのことが背徳感と好奇心をくすぐったのか、この「ビニ本」が、一世を風靡したことがありました。(アーカイブマネジメント部 疋田 智)
たしかに一世を風靡した
TBSのアーカイブには「ビニール本」「ビニ本」のオンエア素材がそれなりの数、収録されています。そのほぼすべては「わいせつ物頒布等の罪(または風営法違反の罪)で摘発された」というニュースですが、80年代初頭の一時期に集中して、こうした「ビニ本摘発」ニュースが結構ひんぱんに流れていたのです。

最盛期には「過激で露骨なヌード写真」などで数十万部を売った例もあり、これらのビニ本が「一世を風靡した」のは確かなことでしょう。

H書店から始まった?
そもそも「ビニ本ブーム」はどこから生まれたのか。
東京・千代田区、神田神保町の古本街の中に、H書店という老舗の古書店がありました。
ビニ本の発祥は、このH書店がアダルト本コーナーの本に「立ち読みされないように」と、ビニール袋(正確には透明ポリエチレン袋)をかけたことにあったとされています。(*諸説あり)

ビニール袋により、店頭で見ることができるのは表紙だけ。中身をめくって確認することができません。このことが「イケない何かがあるのかも」との好奇心と背徳感をくすぐったのでしょうか、売上は急増しました。