香港で開催された自転車トラックのパリ五輪出場枠をかけた国際大会・ネーションズカップ第2戦で、2021年東京五輪銀メダリストの梶原悠未(26・TEAM Yumi)が女子オムニアム種目において金メダルを獲得した。ネーションズカップで金メダルを獲得したのは2022年4月以来2年ぶりで、東京五輪のメダルに続きパリ五輪での連続メダルへ大きく弾みをつけた。
手記に記された「世界最速の走り」への自信
レース後、梶原が特別に手記を寄せた。
「2年ぶりにネーションズカップで優勝することができ、とっても嬉しいです。怪我で苦しい時期にも、変わらず応援してくださった皆様のお力添えで、諦めずに一段一段、積み重ねてこれました。自分の力をレースで発揮できなかった悔しい時期を振り返って、"ここに戻ってくるまで長かった"、そう思うと涙が溢れます。しかし、今日もまだ夢の通過点です。パリオリンピックまで残り4ヶ月、金メダルに向けて、より一層ハードなトレーニングに取り組みます。オリンピック本番、"やり残したことはない"と自信に満ちた笑顔でスタートラインに立つ姿と、世界最速の走りに注目してみてください。応援よろしくお願いします」

1日に4種類のレースを行い、合計ポイントで争うオムニアム。1種目目のスクラッチで1位とした梶原は2種目目のテンポレースでも4位に入り、ポイントを積み重ねていく。圧巻だったのは2周ごとに最下位の選手が脱落するサバイバルレース、3種目目のエリミネーションだ。上位キープを狙うなら先行するのが定石だが、梶原は違う。空気抵抗をうまく利用し後方につけての勝負。フィニッシュライン通過間際で一段ギアを上げ、除外されるのをギリギリで逃れる戦法だ。最後まで体力を温存しつつ、余裕を持ってのレース運びが可能となる。このレースで1位となった梶原は最終4種目目のポイントレースでも圧倒!着実にポイントを重ね、合計124点をマークし金メダルを獲得。パリオリンピック4か月前にして、強い梶原悠未が帰ってきた。
挫折を乗り越え「諦めずに一段一段」
2021年東京五輪で銀メダルを獲得して以降、梶原に大きな試練が訪れた。2023年2月のネーションズカップで落車。転倒した際に肋骨骨折や膝の靭帯損傷などの大けがを負った。「トレーニングをしていても涙が出て、すごく辛かったがパリ五輪のチャンスが1%でもある限りは諦めずにいきたい。周りの方々が応援してくれて『頑張ってね』の声に支えられた」と周囲のサポートと声がけが梶原を勇気づけてきた。

2023年12月には児童たちに向けて「必ず実行するという強い気持ちで人前で宣言すれば、応援する人が集まってくれる。今度は自分が子どもたちに夢や希望、感動を与えられるアスリートになりたい」とパリオリンピックでの活躍を誓っていた。
また、梶原が金メダルに輝いた今大会の女子オムニアムで2023年世界選手権の女子ポイントレースで銅メダルを獲得した内野艶和(日本競輪選手会)が銀メダルを獲得。日本勢がワン・ツーフィニッシュを果たした。