大阪府では7月23日に1日の新規感染者数が過去最多を記録するなど感染者が急増しています。そんな中、宿泊療養施設に看護師を派遣する「大阪府看護協会」では、7月に入り新たに約150人を採用しましたが、それを上回る数の人が入所していて、看護師が足りていないということです。また1年前と比べて施設に在室する患者数も倍以上に増えていて、子どもとの家族同室や妊婦などの療養も増えています。その看護師を派遣する大阪府看護協会の弘川摩子会長に『看護師不足の状況』や『宿泊療養施設の傾向』について話を聞きました。
急速に増える感染者…『看護師不足』が深刻化

ーーー弘川さんは大阪府看護協会の会長でいらっしゃいますがそもそも大阪府看護協会はどういう組織なのですか?
「大阪府に看護職としての資格を持っている保健師・助産師・看護師・准看護師、そういう資格を持っている人たちが会員として介入している団体で、職能団体になっています」
ーーー大阪府看護協会からさまざまなところに看護師や医療従事者を派遣されているということですが、例えば、宿泊療養施設に478人、大阪コロナ重症センターに102人、中等症病院やクラスター施設などに7人、ワクチン接種の4会場に2456人の看護師を派遣しています。ワクチン接種会場に派遣する人数が多いのはなぜですか?
「やはりですね、1人の看護師さんがフルで仕事をしているわけではなくて、週に1回だけとか週に2回・何曜日だけのような、そういう方たちにお願いをしていますので、人数的には非常に多いかたちにはなります。看護協会の会員というのは皆さん医療施設とかで働いていらっしゃるんですけど、今回この人たちというのはどちらかというといったん現場を離れている、いわゆる『潜在看護師』と言われる方が登録されてますので、その人たちに勤務していただいているということなので、現場で働いている方ということではほとんどないです」
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ーーー7月に入って既に新規で150人近く採用したということですが、それを上回る感染者で人手が足りていない状態ということですよね?
「はい、そうですね。本当に今までと違ってスピードがすごくて。普通だったら2か月ぐらいで増加する数が1か月で増えているという状況です。なので、なかなか追いつかないというところが現状で厳しいです」
ーーー面接をして採用されると翌日から現場に向かうということですが、そういったことは可能なのですか?
「今それが一番の課題でして、8月からや8月中旬からという方は面接でも結構いらっしゃるんですけれども、今すぐという方がなかなか確保できなくて。シフトがもうできているところの看護師さんたちが結構多いですので、本当に今困っているのは、この1週間を何とか看護師さんに協力をお願いしたいというところが一番の課題です」
ーーー今の新規感染者数のグラフを日々追いかけているとこれからまだまだ厳しくなってきそうですよね?
「そうですね、まだまだどこまでいくのかがちょっと読めないような状況です」
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(元厚労省官僚・元衆議院議員 豊田真由子さん)
「ここまで感染者が増えた状況だと、私たち側に発想の転換や行動変容が必要で。というのは弘川会長がおっしゃったように、例えば潜在看護師の方って現在70万人くらいいると言われていて。ただ連絡がつかない方とかも多いので、そういった方が自発的にこの協会の方たちと連絡を取っていただくとか、そういう人を増やすということももちろんすごく大事ですし、病床を増やすというのも大事なのですが、多分どんなに増やしても追いつかないので。そうすると、例えば軽症でちょっと喉が痛いなとか熱があるなという時に、いま発熱外来に行ってもできることってほとんどないんですね。というのは、重症化リスクのある高齢者や基礎疾患の方でないとモルヌピラビルとかのコロナの薬というのは処方ができないので、結局普通の解熱剤をいただくだけなので。そうすると、発熱外来に行ってすごく並んで医療のひっ迫にさらに拍車をかけるよりも、よく最近言われるんですけれども、基礎疾患や重症化リスクのない方はご自身で検査キットで検査する。今回は無料で国も検査キットを配布すると言ってるので。かつ市販のお薬で自宅でゆっくり普通の熱が出たときの対症療法として休んでいただくというほうが、おそらくご自身としても医療機関のひっ迫という点からも一番最適な答えだと思うんですよ。ただ、そこで急変したりして亡くなる方がいたりすればすごく問題なので、そこは見極めが大事なのですが。今まで通り、例えば先ほど宿泊療養の話が出ましたけれども、コロナの最初の頃は陽性が出た方は『無症状でも皆さん宿泊施設に入ってください』って方針だったんですけど、それを国も今ちょっと変えていて、そういった無症状の方や軽症の方は『ご自宅で検査をして、ご自宅で陽性が出たら自治体に連絡をしてください』というふうに変えてきているんですね。そういうふうにしないと医療がひっ迫する一方なので、みんなができる形でベストな形を模索しながら行動を変えないと、本当に重症とかで亡くなる方が増えちゃうということにもなるんだと思います」
ーーー大阪の宿泊療養施設38施設のうち36施設に看護師を派遣されてるとのことですが、7月24日時点での宿泊療養施設使用率は35.4%ということでやはり上がってきています。なので、発熱したら不安にはなるが冷静に判断するという考え方も必要ということだと思います。弘川さんはそのあたりの患者の考え方・捉え方はどういうふうに考えていますか?
(大阪府看護協会 弘川摩子会長)
「やはり、今まで第1波からずっと繰り返されていますので、その中で自分たちで取得した感染対応というのはある程度確立されているのかなと思いますので、そこをしっかりと継続していただくということが、一番今の状況を乗り越えられる1つの方法だと思います。本当に一丸となってこの波を越えていかないと、医療職だけとか行政が対応というような問題ではもう乗り越えられないのではないかと思います」














