母親がNPO法人に助けを求めると…開かれた未来
そんな生活を始めて1年半…。耐えかねた母親がNPO法人に助けを求めます。Aさんは津山市のNPO法人「ゆいか」に保護され病院に就職しました。ゆいかの代表、福原さんは保護する前の生活が続けばAさんの人生は制約を受け続けていた可能性があると言います。
(NPO法人ゆいか代表 福原寛人さん)
「もしうちに来ていなかったら、(Aさんは)車の免許も取れていない、就職もしていない、ずっとアルバイトで過ごしていたかもしれないですね。人生をそれで終えるところだったけれど、たまたま何かのきっかけで関わりあえたので変わっただけで」
かつてのAさんのように、大人に代わって家事や家族の世話を行う子どもは「ヤングケアラー」と呼ばれています。国の調査によると、中高生の約20人に1人が、世話をしている家族が「いる」と回答。つまりは1学級に1人から2人、ヤングケアラーが存在していることになります。注目すべきはこのうちの6割以上に相談経験がないということ。「相談するほどの悩みではない」「状況が変わるとは思わない」などと感じているといいます。
Aさんの場合も…
(元ヤングケアラーのAさん)
「友達にも心配させたくなかったし、相談はあまりしなかったですね」
当時のAさんの様子について、同級生は。
(Aさんの同級生)
「会った時はそういう感じには見えなかったです。深刻な環境にいたっていうのは衝撃というか」