千葉県千葉市中央区に在る「千葉明徳学園」の校舎を借りて、毎週土曜日の午前中に、アフガニスタン人の女性向けの、無料の日本語講座が開講されています。

混乱の渦中のアフガニスタンからやって来た女性たち

取材に伺った際には、「ある/いる」の使い分けを教えていました。例えば玉子は「ある」、アフガニスタンは「ある」ですが、子どもは「ある」ではなく「いる」を使うとか。それに数字の使い方を組み合わせて、「あなたの家には自転車が何台?」という質問には、「1台あります」と答えるといった感じです。

こちらを主催しているのはNPO法人「イーグル・アフガン復興協会」。その理事長を務める、江藤セデカさんにお話を伺っています。

NPO法人「イーグル・アフガン復興協会」理事長・江藤セデカさん
「2021年からタリバンの政権に変わってから多くのアフガニスタンの方が日本に難民として逃れて、その中で向こうで学校に行けない人が沢山います。アフガニスタンの地方でも女の子が、小学校高学年になると、学校中退させて結婚する家庭がものすごい多いので、自分はそのような女の人に、高等教育が出来るような機会を作りたかったんです…」

アフガニスタンは長年の戦乱の後、アメリカの援助で支えられていた政権が、2021年8月に倒れて、イスラム原理主義のタリバンの支配が復活。その混乱によって、多くのアフガニスタン人が国外に逃れました。

セデカさんは平和な頃のアフガニスタンで生まれ育ち、カブール大学に通っていた時に、留学生だった日本人の男性と知り合います。しばらくは日本に帰った男性と文通を続けたのですが、内戦が激しくなった1983年にアフガニスタンを脱出。来日して結婚し子どもも生まれたのですが、男性は早くに亡くなってしまいます。その後、子育てをしながら、中東物産店を運営する会社を経営。その傍ら故郷に衣類など援助物資を送り続けました。

NPO法人「イーグル・アフガン復興協会」は2003年に設立。2023年11月「千葉明徳学園」から教室の無償提供を受けて、「日本語講座」をスタートさせました。ご存じの方も多いと思いますが、現在、アフガニスタンを支配するタリバンは女性の社会進出や教育を受ける権利を認めていません。またアフガニスタンは伝統文化の面からも、教育を受けたくても受けられない女性が多かったのです。講座の受講生の中で、日本に来てから2年、日本語を学び始めて半年ほどという、イブラヒム・マイヤンさんに授業の感想など伺ってみました。

イブラヒム・マイヤンさん
「漢字はとても難しいです。でも面白いです。前は学校の先生と全然話せません。いま少し先生と話せます。アフガニスタンで女の人は全然勉強できないです。学校(に通うの)がダメです。私の子どもは5人、女の人です。だから今、日本いいと思います」

マイヤンさんは、週1回の講義を半年ほど受けただけで、驚くべき上達ぶりです。こちらの日本語講座は、習熟度に合わせて3つのレベルに分けて学習を進めているのですが、マイヤンさんは上級クラスの受講生です。