Q.国際司法裁判所(ICJ)は暫定的な措置として、2022年3月にロシアに対し軍事行動の即時停止を命じました。しかし、その後もロシアは軍事侵攻を続けています。法の支配への信頼が揺らいでいるとの指摘もありますが、「法の支配の重要性」をどう考えていますか?
国際司法裁判所の判断というよりも、広い意味で、法律が機能していないということが問題です。平和と安全保障のための国際秩序がロシアの残虐行為を止められないのであれば、他の権威主義的な指導者が、侵略戦争を始めたらどうすればいいのでしょうか。これは、法の支配が機能していないということが問題なのです。しかし、私は弁護士として、これを成し遂げられると信じています。ロシアによるウクライナへの侵略を止めることに成功すれば、国際秩序が回復し、正義が示され、将来の戦争を防ぐことができるでしょう。
Q.国際秩序が機能するために、国際社会にできることは何でしょうか?
たくさんあります。ロシアによる大規模な侵攻が始まったとき、国際社会は「ウクライナが負けないよう支援しよう」と言いました。そしてウクライナは、自衛のための武器を手に入れ、ロシアに対する制裁措置が発動されました。そのおかげでウクライナは生き延びることができました。
しかし、近代的な戦車が供与されるのを1年以上も待ち、近代的な戦闘機を持たずに反転攻勢を開始しなければなりませんでした。侵略犯罪を裁く特別法廷の設置についても議論しているだけで、手続きは進みませんでした。特別法廷を立ち上げるには2年もあれば十分でした。
「ウクライナが負けないように支援しよう」というのと「ウクライナが勝つために支援しよう」というのは、大きな差があります。我々は脅威を認識し、この現実を受け入れなければなりません。
この戦争はすでにウクライナの国境を越えています。
北朝鮮はロシアに100万発以上の砲弾を供与しました。中国はロシアの制裁逃れを支援し、イランはロシアに無人機を供与しました※。「権威主義国」が互いに協力するなら、私たち「民主主義国」は、さらに強く助け合わなければならない。これは単なる2つの国家間の戦争ではなく、「権威主義」と「民主主義」という2つのシステムの戦争なのです。
※編集注:
中国側はロシアの制裁逃れの支援を否定
イラン側はロシアの軍事侵攻後の無人機の供与を否定