■世界陸上オレゴン・8日目(日本時間22日~23日・米オレゴン州ユージーン市)
世界陸上は大会8日目を迎え新種目となる女子35km競歩が行われた。日本選手権初代女王の園田世玲奈(25)は世界大会デビューとなった世界陸上で自己ベストを更新、2時間45分09秒の9位と健闘した。
5kmを23分52秒、先頭とは26秒差の6位集団で通過した園田。初めての海外が世界陸上の大舞台でも序盤からリラックスした様子で冷静に自分のペースを保った。
レースは早い段階で、16日に行われた20km競歩の金メダリスト・K.ガルシア レオン(ペルー)、銀メダリスト・カタジナ・ズジェブウォ(ポーランド)、銅メダリスト・切陽什姐(中国)がそろって前にとび出した。
園田は15km地点を自身の持つ日本最高記録を上回るペースの1時間11分3秒で通過。ポイントに上げていた「20kmまでを冷静さを保って歩く」を体現し、落ち着いた様子で4位集団の先頭をキープした。
25km手前で4位集団がばらけ始め、スペインの2選手がペースアップ。園田はペースを乱さないように両腕をだらんと降ろし冷静にそれを追いかけた。「余力を出し切る」と話していた園田は勝負の残り10kmで口が開き始めたが、力をふり絞って腕を振った。
30kmを過ぎて給水地点でコーチに声をかけられピッチを上げると、さらに帽子を取りギアをあげ、前へ前へと強い歩きを見せた。残り2km、厳しい表情を見せる園田を中国の李毛措が交わし8位に後退、さらに最後の直線でブラジルのV.リラにかわされ9位でフィニッシュした。
初ものに強い園田は2018年に50km競歩が初めて開催された日本選手権で優勝。今年初めて開催された日本選手権の35kmも制し、代表の座をつかんだ。
学生時代にグアム行きの予定がキャンセルとなり、今回が初の海外だったという園田。初の日本代表、世界陸上初出場で初開催の35km競歩に挑戦。初入賞は逃したが、初めての日の丸で9位と健闘した。
レース後「初めてだったんですけど入賞というのをひとつの目標にしていたので、9位という順位はとても悔しい」と振り返った園田。自身の設定ペースより速かったというが4位集団を牽引し「良い感覚で先頭に立って歩けたことがひとつの自信にもつながると思うのでこの経験ができたことが今回はすごくいい収穫だった」と手応えも得た。入賞までは7秒。「今回のこの悔しさは、絶対今後に活きてくると思うので来年の世界選手権ブタペストだったり、一番の目標のパリ五輪にむけてしっかり準備をしたいと思います」とすでに次を見据えた。
■女子35キロ競歩結果
金メダル K.ガルシア レオン(ペルー) 2時間39分16
銀メダル カタジナ・ズジェブウォ(ポーランド) 2時間40分03
銅メダル 切陽什姐(中国) 2時間40分37
・・・・・・・・・・・・・・・・
9位 園田世玲奈 2時間45分09 ※自己ベスト
注目の記事
「やっと技術が認められた」従業員約70人の町工場が開発 量産可能な最高水準の緩み止め性能のボルト 【苦節21年の道のり 開発編】

“ポンコツ一家”で過ごした5年間 認知症の母と一発屋芸人 にしおかすみこさんが語る「ダメと言わない」介護【前編】

「下請け」は"NGワード" 法改正で消える暗黙の上下関係 フリーランスも保護【2026年から変わること】

パンや味噌汁でもアルコールを検知してしまう?飲酒してなくても摘発されてしまうのか 警察に聞いてみた

【実録・詐欺犯VS警察官】 詐欺電話を受けたのは“本物の警察官”「信号検査・逮捕令状・強制捜査」次々に出る専門用語…人々が騙される巧妙な手口を公開

3年で20本が切断…台湾「海底ケーブル」が直面する脅威と中国の影 最前線・沿岸警備隊パトロールに日本メディア初密着【後編】












