規制法の改正「泥棒が都合の悪い刑法は作らない。国民も要求を」
なぜ、政治とカネの問題は繰り返されるのか。
自民党の裏金問題を刑事告発した神戸学院大学(法学部)の上脇博之教授。政治倫理審査会ではなく、証人喚問で政治家の責任を追及することが必要だと話す。

神戸学院大学(法学部) 上脇博之教授
「最終的には、嘘の証言をしたら偽証罪に問われる証人喚問という形をとらざるを得ない。単に議員が弁明するだけで終わったら、主権者(国民)は納得しない。政治資金パーティーというのは裏金が作られる温床になっている。会社・企業がパーティー券を買った分は誰もチェックできない。政治資金パーティーはもう全面的に禁止する」
問題の背景にある政治資金規正法。その改正を国民が訴えていくべきだと話す。
村瀬キャスター
「国会議員にとってもザル法であることがメリットだっていうところもあると思う。その国会議員に改正について決めてもらうことには限界があるようにも思うが」
神戸学院大学(法学部) 上脇博之教授
「泥棒が自分に都合の悪い刑法は作らない。実際、法律改正になると、自分に都合のいい法改正になってしまう。主権者(国民)も警戒して、いい法律にしろという要求を突きつけていく必要がある」
安倍派会計責任者が語る“法の抜け穴”「収入に関しては何のエビデンスも要らない」
裏金事件を受け、政治倫理審査会では政治資金規正法の改正について議論が交わされた。

岸田総理
「一定の悪質な場合に、会計責任者のみならず、政治家本人も責任を負う法律改正を行うこと」
岸田総理が意欲を見せたのは、会計責任者が有罪になった場合、政治家にも責任が及ぶ“連座制”の導入だ。
これに異論を唱える人物が報道特集の取材に応じた。安倍派幹部の事務所で会計責任者を務めてきた男性だ。

安倍派幹部 会計責任者
「何でもかんでも政治家が責任を取る必要はない。国会議員は国会議員としてやるべきことがあるはずなんです」
国会議員ではなく、事務を担う秘書が会計処理の責任を負うべきだとする一方で、現在のシステムには限界があると語る。
安倍派幹部 会計責任者
「会計責任者といっても、ほとんどが兼務でやっている。片手間でやっていて、残業手当も何もない。やはり何千万というお金を年間動かして記帳して処理していくわけですから、当然ミスも生じるし、連座制をただ作ればいいという議論ではない」
そして男性は、現在の政治資金規正法のままでは、ずさんな会計処理が放置されると警告する。

安倍派幹部 会計責任者
「そもそも収入に関しては何のエビデンスも要らない。『これだけの収入です』と言って申告しちゃえば、それで終わってしまう。そこが一番ポイントなんじゃないですかね」
村瀬キャスター
「過少に申告していても、何のエビデンスもない?」
安倍派幹部 会計責任者
「ないですね。収入はごまかせます、はっきり言って」
村瀬キャスター
「何のチェックのしようもない?」
安倍派幹部 会計責任者
「外からはないと思います。政治資金規正法はそういう成り立ちですよね。だから与党・自民党とかいうことではなくて、与野党関係なく、先生たちの暗黙の了解事項ではないかと思っています」