■8日目(日本時間22~23日)の決勝種目と日本選手出場予定
22:15【女子35km競歩決勝】園田世玲奈
9:05【男子棒高跳予選】山本聖途
9:40【女子4×100 mリレー予選】日本
10:05【男子4×100 mリレー予選】日本
10:20【女子やり投決勝】北口榛花 武本紗栄
10:35【女子800m準決勝】
11:15【女子400m決勝】
11:35【男子400m決勝】
11:50【女子400m障害決勝】
女子フィールド種目のメダル獲得は世界陸上だけでなく、オリンピックでもいまだかつてない。その偉業に挑戦するのが女子やり投の北口榛花(24・JAL)だ。2日前の予選を64m32の予選最高記録を投げて通過した。自己記録は19年にマークした66m00で、単日開催では世界最高レベルのダイヤモンドリーグでも今年6月のパリ大会に優勝した。記録、実績とも世界のトップレベルに達している。
だが北口自身は楽観視していない。
「決勝になると別人になる選手がたくさんいるので…(笑)。どういうメンバーが残るかわかりませんが、(レベルが)がらっと変わりそうな雰囲気があります。自分は自分のことに集中して頑張りたい」
別人になる選手の代表がK.L.バーバー(30・オーストラリア)で、19年世界陸上ドーハ大会では予選を10番目の61m08で通過したが、決勝は66m56で金メダルを取った。今回も予選は61m27で全体5番目だが決勝では大きく記録を伸ばしてくるだろう。
対照的に高いレベルで安定しているのが劉詩穎(28・中国)で、ドーハは65m88で銀メダル、昨年の東京五輪は66m34で金メダルを獲得した。今回の予選も63m86と、北口と同じように1投目で通過記録の62m50を大きく越えてきた。
予選ではもう1人 L.ヤシュウナイテ(27・リトアニア)が63m80と、これも1回目で通過記録を大きく突破。バーバー、劉とともに67m台の自己記録を持つN.オグロドニコワ(31・チェコ)も予選6 番目の記録で決勝に進んだ。ライバルは多い。
記録的にも銅メダル記録は東京五輪が64m56、世界陸上ドーハが65m49、17年世界陸上ロンドンは65m26だった。劉はセカンド記録が66m台で、バーバーも66m台なのに対し、北口は64m台である。メダルは簡単ではない。
もう1つ、これは日本のフィールド選手全体の課題だが、決勝に進んでも予選の記録を上回れない選手が多い。今大会男子走幅跳の橋岡優輝(23・富士通)だけでなく、決勝に進んだ大半の選手が予選より記録を下げている。東京五輪の北口も予選で左脇腹を痛めて決勝は12位に終わった。予選を全力で戦った場合、どこかを痛めたり疲れを残したりしてしまうのだ。
しかし今回の北口は「64m32の投てきは、全部の力を使いきったかと聞かれると、そんな反応は今はない気がするので、(決勝は)もっと行けると思う」と、昨年の経験も踏まえて手応えを感じている。自己記録は出していないが、今季63m前後は安定して投げている。予選の64m32でダメージが残る可能性は低い。
それができるのは、記録よりも自身がやるべきことに集中しているからだ。記録を出すにはいつも以上に頑張らないといけない、という力みがなく、今練習でできていることができれば記録は自然に出てくれる、という状態に自身を持って来ている。
無理にメダルを狙わない北口の方が、メダルを期待できる。
大会も終盤に入り、男女4×100mリレーの予選も行われる。
男子は17年ロンドン大会、19年ドーハ大会と連続銅メダルを取っているが、今大会は多田修平(26・住友電工)と桐生祥秀(26・日本生命)のメダルメンバーが代表に入れなかった。さらに今大会100m7位入賞のサニブラウン・アブデル・ハキーム(23・タンブルウィードTC)が100mのダメージで、100m9秒98の小池祐貴(27・住友電工)は新型コロナ感染でメンバー入りできなかった。
今大会100mで準決勝に進んだ坂井隆一郎(24・大阪ガス)が1走、鈴木涼太(23・スズキ浜松)が2走、200mで準決勝に進んだ上山紘輝(23・住友電工)が3走、学生の栁田大輝(18・東洋大)が4走という布陣が有力視されている。
9秒台2選手を欠き経験も少ないメンバーで、実際のところ予選通過も難しいだろう。だが200mで上山が自己記録を0.2秒更新したように、全員が自己新に相当する走りができれば38秒台前半は出すことができる。若いメンバーに決勝進出を期待したい。
女子は昨年の東京五輪で43秒44と、日本記録の43秒39に0.05秒と迫った。
11年に日本記録を出したメンバー4人と今回の代表5人を比較すると、自己記録の平均は日本記録メンバーが11秒35で、今大会の5人の11秒43を上回る。しかしシーズンベストの平均は11秒46と11秒44で、今回のメンバーが上回っている。
42秒台を出さないと予選通過は難しいが、世界陸上という大舞台で日本記録を更新すれば、男子に比べ世界との差があった女子短距離に勢いをつけられる。
(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)
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