ゆるやかな時間、自分のペースで

最も苦労したというのが教育課程の編成。通常の学校より1割ほど授業時間を減らし、子どもの興味を伸ばすための教科として、チームで学習を進める「探求」、ソーシャルスキルを学ぶ「対話」、自然環境の中で体を動かす「野遊び」を新設。その中に社会や理科といった従来の教科の要素を組み込みます。

そのほかの特徴は…
●登校時間は午前9時30分
●自習室や図書室など好きな場所で学習可
●オンライン学習への切り替えや途中登下校も可
●3学年1学級の異年齢学級でともに学ぶ
●服装は自由。校則も子どもたち同士で話し合いルールを考える
●通学手段はスクールバスを登下校時に運行。自転車や送迎も可
●定期的な専門家によるカウンセリング

上記の通り、ゆるやかな時間を設け、自分のペースで学習に取り組めるよう配慮されています。

玖珠町教委指導主事 佐藤信昭さん:
「子どもたちが元気になるための授業を作り出したいという気持ちがあるが、文部科学省からは子どもたちに学びの保障は必ずしてくださいというのがあって、そこのバランスを取るのがとても難しかった」

試行錯誤しながら準備が進む玖珠町の多様化学校。初年度は12人でスタートする見通しで、町外から引っ越して通う子どももいるといいます。30年にわたり不登校の親子の支援を続けてきた加嶋文哉さんは、学びの場の多様化を歓迎します。

不登校・ひきこもりを考える親の会「星の会」加嶋文哉代表:
「今まで学校に行けなかった子どもたちの学ぶ権利っていうのは実質的には保障されていなかったと思う。不登校って学校に合わない子どもたちだけど、学校そのものが子どもにとって魅力ある学校に変わっていくというので期待している」

一方、急ピッチの開校準備で予算措置が間に合わない面もある中、玖珠町には趣旨に賛同する個人や団体から540万円もの寄付が寄せられています。

学校として20年使われず荒れ果てたグラウンドも、4月の開校に向けて地元のボランティアが整備してくれることになりました。

玖珠町教委教育政策課 秋好英信:
「寄付もそうですけど、こういったお金じゃない分野でもいろいろ手伝ってくれるので感謝しかない」

不登校の子どもたちの学びをどう保障していくか。一人一人のペースにあわせた教育を目指す玖珠町の学びの多様化学校は4月に開校します。