試験対策は手探り状態…学習塾にはビジネスチャンス

県立高校の中高一貫校導入の反響は想像以上で、明和附属中学の説明会には定員1500人に対し、2500人を超える申し込みが。当初2回予定していた説明会を3回に増やしました。

(参加した保護者)
「やっぱり費用面は大きい。(Q私立との違いですか?)それはありますよね」

(参加した児童)
「好きなことが6年間ずっと続けられると聞いたので。やっぱり高校受験で興味があることを中断することなく続けられるので、いいかなと思いました」

やはり気になるのは受験の内容です。受験方式は「適性検査」である筆記試験と、「面接」の2段階選抜。適性検査は、小学校の学習範囲から英語を除く全ての教科を含んだ、総合問題が出されます。

ほぼ全員が臨む高校受験と違い、まだライバルが少ないうちに頑張れば名門校への切符が手にできるとあって、現時点で明和附属の倍率は8倍から10倍ほどの狭き門とみられています。

(参加した保護者)
「高校受験がないというメリットが大きいかな。競争率が高くなると思いますが、期待して頑張ってもらいたい」

もちろん過去問は存在せず、受験にどう備えたらいいかは手探り状態です。そうした中で、既に対策を始めている学習塾もあります。小・中学受験向けの学習塾「エコール・ドゥ・アンファン」では、去年2月から明和中受験対策のコースを設置。現在、60人ほどが通っています。

(エコール・ドゥ・アンファン・受験明和中・長尾淳子統括責任者)
「各塾さんが『中高一貫校に向けて』みたいになっているので、塾業界の活性化につながっているんじゃないかと。実際にすごく盛り上がっていますよね。塾の特徴を出していかないといけないと思っています」

2023年12月の夜、エコール・ドゥ・アンファンの一室では緊急会議が開かれていました。待ちに待った適性検査のサンプル問題を愛知県が公表したのです。例えば、ある問題では日本の食料自給率をテーマにした問題になっており、会話文と表やグラフを元に正しい答えを選ぶというもの。解答には、資料を読み解く力とともに社会の知識が問われます。

(エコール・ドゥ・アンファン・岡田秀人進学教育部長)
「見る限り、ものすごく難易度が高いものでもない。ただ印象的には、文章がいっぱい書いてあるので、文章を読める力がないと厳しいというのは言えてくるかな」

サンプル問題をもとに、今後の具体的な対策方針を決定し、直ちに授業にも反映します。少子化で塾の利用者が減る中、中高一貫校新設は受験産業に取って新たな「ビジネスチャンス」。合格実績をあげるのが至上命題です。

真剣に授業に取り組む子どもたち。5年生の石川由衣さんもその1人です。