■6日目(日本時間21日)の決勝種目と日本選手出場予定
7:20【女子やり投予選A組】上田百寧
8:25【女子5000m予選】田中希実、廣中璃梨佳、萩谷楓
8:50【女子やり投予選B組】北口榛花、武本紗栄
10:30【女子円盤投決勝】
11:15【男子400m準決勝】佐藤風雅、ウォルシュ・ジュリアン
11:45【女子3000m障害決勝】
今大会女子1500m、5000m、800mの3種目に出場する田中希実(22・豊田自動織機)が、2種目目の5000m予選に登場する。1500mは残念ながら決勝に進めなかったが、結果的に1500mの準決勝から中3日空くことになった。コンディション的には十分に回復している。
田中は19年世界陸上ドーハ大会は予選を通過しているが、東京五輪はドーハよりタイムを上げたが通過できなかった。両大会とも予選は2組行われ、各組5着までと両組の6着以下でタイム上位5人が通過できた。田中は両大会とも組6着だったが、ドーハはタイムが上から2人目だったのに対し、東京五輪はプラスの6番目だった。
下の表からわかるようにラスト1000mは東京五輪の方が速い。日本選手で2分50秒を切って上がれるのは田中以外に考えられないが、それでも通過できなかった。

【田中】
19年世界陸上ドーハ予選1組6位/15分04秒66=通過
<3分04秒8-3分04秒3-3分00秒7-2分56秒6-2分58秒26>
21年東京五輪予選2組6位・14分59秒93=通過ならず
<3分03秒6-3分03秒4-3分04秒4-3分00秒5-2分48秒03>
22年日本選手権1位/15分05秒61
<3分06秒-3分00秒-3分03秒-3分05秒-2分48秒>
【廣中】
21年東京五輪予選1組9位/14分55秒87=通過
<3分00秒9-2分59秒1-3分01秒8-3分00秒8-2分53秒27>
21年東京五輪決勝9位/14分52秒84=日本新
<3分00秒7-3分00秒1-2分59秒9-2分57秒5-2分54秒64>
今回も予選は2組が行われ5着プラス5の通過条件は同じ。田中の選択肢は2つある。
1つはドーハのようにラスト2000mからペースを上げる。そこで人数を絞ることで、着順でもプラスでも通過しやすくなる。中3日の休養が取れたことで、早い時点でペースアップする戦術がとりやすくなった。
もう1つは東京五輪と同じようにラスト勝負に徹すること。特にラスト1周のスピードは日本選手権を61秒台で走ったことで、昨年より力が付いているとわかった。翌日以降に余力を残すことを考えたら、ラスト勝負の戦術も十分考えられる。
廣中璃梨佳(21・JP日本郵政グループ)も最近はラストに強くなってきたが、田中と比べると劣る。上の表からわかるように、東京五輪では速いペースに持ち込むことで着順は9位でも予選を通過し、決勝でも9位と入賞に迫った。
今大会でも2 日目の10000mは30分39秒71(日本歴代2位)で12位。東京五輪(7位)に続く連続入賞はできなかったが、自己記録を大きく更新した。5000mも気象コンディションに恵まれ速い展開になれば、予選から自身の持つ日本記録更新の可能性もある。
3人目の代表の萩谷楓(21・エディオン)は1500mから距離を伸ばしてきたスピードランナーで、今季は10000mにも進出。5月の日本選手権10000mでは終盤まで廣中に食い下がった。3人全員決勝進出の可能性もある。

予選通過記録は62m50に設定されているが、今季の女子やり投は全体的に記録が出ていない。世界陸上ドーハでは60m90、東京五輪では60m94までが予選を通過している。昨年、今年と61m台を投げている上田百寧(23・ゼンリン)と、昨年62m39を投げた武本紗栄(22・佐賀県スポーツ協会)も予選突破が期待できる。
2人が決勝に進出すれば世界陸上の投てき種目では史上初の快挙となる。

(TEXT by 寺田辰朗 /フリーライター)