安倍元総理の銃撃事件を通して宗教と政治の関係について考える動きが出てきています。「民主主義が宗教との癒着で歪められているのではないか」。“それぞれの神社の立ち位置”を知りたい、と選択的夫婦別姓や同性婚を望む当事者や支援者などがあるプロジェクトを開始しました。

■旧統一教会以外にも 262人の自民党議員が所属する「神道政治連盟国会議員懇談会」

自民党と近い宗教団体は、旧統一教会だけではありません。政治団体である神道政治連盟もその一つ。全国各地の神社が加盟する神社本庁の関連団体です。

2000年に行われた神道政治連盟国会議員懇談会には、当時の森喜朗総理の姿がありました。



森喜朗総理大臣(当時)
神社本庁のご指導をいただきながら、神道政治連盟、そして国会議員懇談会を設立したわけですから」

神道政治連盟の国会議員懇談会には、名誉顧問に麻生自民党副総裁(2021年2月時点)、顧問に菅前総理が名を連ね、会長を安倍元総理が務めていました。

所属しているのは衆参あわせて263人の国会議員で、18歳の女性との飲酒問題で離党した吉川赳衆院議員以外、全て自民党の議員です。

この国会議員懇談会の会合では、6月に「夫婦別姓 同性婚 パートナーシップ LGBTー家族と社会に関わる諸問題ー」という冊子が配布されました。その中には「同性愛は心の中の問題であり、先天的なものではなく後天的な精神の障害、または依存症です」といった記述が。連盟などによると、冊子は参考資料として配布されたといいます。


私達の取材に神道政治連盟は「同性婚については見解を出していない」と回答しました。また、選択的夫婦別姓については「反対」と回答。2021年2月の連盟の機関紙には、「夫婦別姓は全国民からファミリーネームを奪う」と書かれています。

■「参拝する神社を選びたい」神社の立場を知るプロジェクト始動

こうした中、選択的夫婦別姓や同性婚を望む人たちからは「参拝する神社を選びたい」という声が上がっています。



“それぞれの神社の立場を知りたい”と始まったのが、『私のお賽銭の行方プロジェクト』です。

私のお賽銭のゆくえプロジェクト 井田奈穂さん
「幸せを願って投じたお賽銭とか祈祷料とか寄付とか、私達の基本的人権を否定するような政治活動の資金源になってるっていうことは、あまり知られていないんじゃないかなと」


当事者団体や支援者などの有志が参拝客が多い神社32社に対してアンケートを実施したのです。「同性カップルや苗字の異なるカップルが神前式を希望した場合、式を挙げることができますか?」などと質問。
アンケート結果は、2022年末までにまとめて公表する予定だといいます。

井田奈穂さん
「(選択的夫婦別姓に)意見表明しない自民党の先生方も『私はいいんだけど神社がね』って仰ったり、『反対の議員はなんであんなに強硬に反対するんでしょう?』と聞くと、『あの議員は宗教団体の支援を受けている方だからね』と言われたりするのは非常に不合理で、民主主義というものが宗教との癒着で歪められているんじゃないかと」