卓球の世界選手権団体戦が16日に韓国・釜山で開幕する。日本はこの大会でベスト8に進出すればパリ五輪の団体の出場権を獲得、シングルスの2枠を得ることができる。
1月の全日本選手権の女子シングルスを2年連続で制するなど五輪代表選考レースを独走し、女子シングルスの代表候補となった早田ひな(23)と早田を10年間指導する石田大輔コーチがTBSの取材に応じた。全日本選手権後の会見では「こんなにも過酷な中、五輪代表の3人は選ばれているんだと思い知らされた」と語った早田。東京五輪の代表落ちを経て、約2年に及ぶ壮絶な選考レースを戦い終えた心境を聞いた。
石田コーチ「ネガティブなことは絶対言わない」
石井アナ:技術に関して何が早田選手を強くしているんですか?
石田コーチ:何がすごいかわからないくらい隙がなくなった。今までは逆に言うと「ひなのフォアハンドがきたら『強烈だ』と思っていたところが、全部が良くなってきた。短所の練習はちょっと嫌じゃないですか。自信がないから練習していても面白くないしネガティブになりやすいですよね。練習に入り込めば入り込むほどネガティブな練習は難しいんですけど、短所でも楽しく練習できることが技術的な強みになってきましたよね。
短所の練習を楽しく行うために石田コーチが心がけていることがあるという。
石田コーチ:ひなに「疲れた」「眠たい」とかネガティブなことは絶対言わないようにしてます。今まで一回も言ったことないです。どんな場面でも。
石井アナ:早田選手もネガティブなことは言わない?
石田コーチ:ひなは「眠たい」は、言います。笑
石井:そりゃ選手ですからね、眠いですよね。笑
石田コーチ:ひなも僕がそうしていることを、気を付けていることを知らない。そこ(ネガティブなことを言わないということ)は必ず僕の中では思っています。
石井アナ:パリ五輪に向けてはどのようなことをここから・・・
石田コーチ:普段からひながよく「挑戦」「チャレンジ」と言ってますけど、「進化」とか。そこを思い切ってやれるとポジティブに勝負にいけますよね。だから楽しみです。

早田「突き進むしかないなという気持ちでやっていた」
石井アナ:全日本選手権2連覇。今の気持ちはいかがですか?
早田選手:周りには「絶対優勝」って言われる立場であって・・・期待に応えられてホッとしているところです。
石井アナ:代表選考レースっていうのは2年間、プレッシャーもあって重圧もあったんじゃないですか?
早田選手:そうですね、あったと思います。でもそれをパワーに変えて自分が「もっと強くなるんだ」「進化しなきゃいけないんだ」という方向に変えることができたので。今思えば常にプレッシャーはかかってましたけど、そのときは本当に前だけを見ている感じで突き進むしかないなという気持ちでやっていた。それを2年間、自分一人だけではそれはできなかったと思いますし、沢山の人に支えられてここまで突っ走ってくることができたなと思います。
石井アナ:全日本選手権も勝ちきって終われたという部分に関して、ここにはどういう思いがありますか?
早田選手:負けて2位だったり3位だったりっていう時もありましたし、悔しい思いも海外の試合でも何度もしていたので、2年間の全ての集大成のような、そしてここからさらに始まりというか。いったん区切りをつける大会としてこういう結果で終われたことはすごく良かったなと思いますし、でも逆に言うと、(パリ五輪まで)あと半年しかない現実も受け入れないといけないので。半年間で2年間積み上げてきたものよりもさらにヒートアップして自分自身を進化させていかなければいけないなと思っています。