イギリスに不法入国した人たちをアフリカのルワンダへ移送するための緊急法案が、イギリス議会下院で可決されました。

この計画は、ドーバー海峡を渡って不法にイギリスに入国する難民申請者の一部を、第三国であるルワンダに強制的に移送するというものです。

去年11月、イギリス最高裁がこの計画を「違法」と判断したことを受け、イギリス政府はルワンダとの間で移民の安全を保障する新たな条約を締結。そのうえで、先月、移送計画に人権法の関連条項を適用しないことなどを盛り込んだ緊急法案を議会に提出していました。

法案は17日、賛成320、反対276の賛成多数で可決され、下院を通過。より厳格な移民規制を求める与党・保守党右派による造反が懸念されていたものの、反対票を投じたのは11人にとどまり、「ルワンダ移送計画」を主要政策の一つに掲げるスナク政権にとって大きな打撃は免れた形です。

イギリス スナク首相
「上院はこの法案を可決しなければならない。今こそ国境の管理を取り戻し、密入国あっせん業者を打ち負かす時だ」

スナク首相は18日、会見でこのように述べ、法案が成立すれば不法移民増加の抑止に繋がると強調しました。

今後、法案は上院で審議されますが、引き続き厳しい議論が予想されます。