AI開発を巡る米中競争で、米国勢が中国勢に対して保ってきた性能面での優位がここ数カ月で急速に縮小し、その差は過去最小となった。DeepSeek(ディープシーク)など中国のAI開発企業が追い上げており、米国の技術的優位を脅かしている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)が指摘した。

BIのシニアアナリスト、ロバート・リー氏は5日付のリポートで、9月にDeepSeekが「V4.1 Flash」を公開したのを受け、中国の上位モデルと米国勢とのベンチマークスコアの差はわずか3%に縮まったと指摘した。5月の約9%、年初の15%から大幅な縮小となる。性能向上を追い風に、中国勢は市場シェアをさらに伸ばす可能性があるという。

中国勢躍進の背景には、AI分野での専門知識が深まっていることに加え、研究者が国内製ハードウエア向けにモデルを最適化する能力を高めたことがある。米国は、中国のAIの進展を抑え、華為技術(ファーウェイ)などによる代替技術の開発を阻む狙いでエヌビディア製半導体などへの輸出規制を講じてきたが、中国のこうした進歩は、その有効性に疑問を投げかけている。

リー氏は、中国の進展について「AI分野における米国の技術的優位が長期的に持続可能かどうかに、さらなる疑問を投げかけている」と指摘した。

米中両国は、経済の生産性や軍事面での優位、世界的な影響力を左右するAI技術の主導権を競っている。中国の低コストAIモデルは、利用者数でも米国勢との差を縮めつつある。一方、アンソロピックとOpenAIは、優れた性能をアピールしながら株式上場で1兆ドル(約158兆円)規模の評価額を目指している。

DeepSeekのV4.1 Flashは先月、AIモデルの性能を評価する「LiveBench」で世界6位となった。同社が2025年に推論モデル「R1」で注目を集めて以降、中国モデルとしては最高順位だった。LiveBenchは質問やパズル、課題への回答と分析内容を基にAIモデルを採点する、人間の知能指数(IQ)測定に近い評価手法だ。

DeepSeekの直近のLiveBenchスコアは81.1で、アンソロピックの最高スコア83.4に僅差で及ばなかった。リー氏は、この結果からDeepSeekのモデルがアンソロピックやOpenAIの有力AIシステムと「同等の性能」を発揮していると指摘した。ただ、スコア差が3%に縮まったとはいえ、LiveBenchが評価した上位15モデルのうち中国勢は三つにとどまる。

リー氏は、こうしたランキングには変動があると注意を促したほか、順位が高くても収益化は難しい場合があると指摘した。中国のAIモデルは、既存モデルの出力を使って別のモデルを訓練する「モデル蒸留」を巡る疑惑を受け、米国で規制当局の監視が強まっており、禁止される可能性もある。

同氏によると、中国のAI業界は30年まで赤字が続く可能性がある。低利益率のトークン供給を重視する事業モデルと激しい価格競争に加え、国内市場には1100を超える大規模言語モデル(LLM)がひしめいており、いずれの企業にとっても競争優位を築くのが困難になり得る。

AIアプリの収益化では、バイトダンス(字節跳動)の「豆包(Doubao)」が先行している。一方、競合するDeepSeekやテンセント・ホールディングス(騰訊)のチャットボットは無料提供を続けているとリー氏は指摘した。

同氏は「中国のAI業界が持続的に利益を上げるには、競争圧力の緩和と業界再編、より合理的な価格設定が必要になる」と述べた。

原題:US Lead in AI Over China Narrows After DeepSeek Gains, BI Says(抜粋)

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