(ブルームバーグ):米海軍がイラン戦争初期に拿捕したイラン系スーパータンカー(超大型石油タンカー)2隻が、数週間後にも米国に到着する見通しだ。米当局は船舶と、積載する数億ドル相当の原油を差し押さえる方針。イラン産原油は米国への輸入が数十年にわたり禁止されており今回の航海は異例だ。
トランプ米大統領がイランに終戦を迫るため海上封鎖を実施した4月、大型タンカー「ティファニ」と「マジェスティックX」はインド洋で米軍に拿捕された。ブルームバーグがまとめた船舶データによると、両船はこの1週間、ブラジル沿岸を航行している。拿捕された3隻目の船も喜望峰を回り、大西洋を西へ向かっていることが確認された。
米司法省は4月、ティファニとマジェスティックXの没収手続きを開始した。国土安全保障捜査局はその後、タンカー本体と、積載していた約400万バレルのイラン産原油を差し押さえるため、令状を執行していると明らかにした。3隻目のタンカー「レノア(別名ダビナ)」は6月に拿捕された。
これらのスーパータンカーはそれぞれ200万バレルを輸送でき、積み荷全体の価値は現在の市場価格で約6億ドル(約950億円)に上る。いずれも通常の12~13ノットを下回る8~9ノット程度の速度で航行している。
イラン産原油が米国の港に到着すれば、2023年に没収された貨物が運ばれて以来となる。トランプ政権は過去のタンカー拿捕で、差し押さえた船舶と原油を売却して利益を得ようとしてきた。
ただ、こうした取り組みは過去に問題にも直面している。ベネズエラ封鎖中に拿捕した180万バレルの原油を積むタンカー「スキッパー」の場合、米政府による没収申し立てに船主は抵抗し、売却の阻止に動いた。トランプ政権がこのタンカーの維持に費やしたコストは4700万ドルに膨らみ、老朽化したタンカー本体の価値の約5倍に達した。
米司法省はその後、イランの石油タンカーを戦利品として拿捕する手続きを効率化・簡素化するため、長らく休眠状態にある海事戦時裁判所を復活させる準備を進めている。
米国は4月12日、イランの石油輸出を制限して収入を断ち、紛争終結に向けた合意を迫るため、海上封鎖を発表した。6月に暫定停戦が成立すると禁輸措置は緩和されたが、その後、和平交渉が決裂して戦闘が再開されると、再び実施された。
原題:Iran-Linked Oil Tankers Seized by Navy Sailing Slowly Toward US(抜粋)
--取材協力:Jimmy Jenkins、Golnar Motevalli.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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