ベッセント米財務長官が米国債利回りの上昇を抑えるべく、債券投資家に警告を発したタイミングで、トランプ大統領は財源に触れず、1兆ドルを超える財政出動を公約した。米国債が遊び道具のように扱われており、投資家は警戒を続けるしかないだろうとウエストパック銀行のストラテジストが指摘した。

トランプ大統領は9日、与党共和党の党大会で、同党が中間選挙で上下両院を制した場合、成人の国民全員に5000ドル(約77万円)を支給すると約束した。

ウエストパックの金融市場戦略責任者、マーティン・ウェットン氏は「国際金融市場を数十年にわたり根底から支える担保の役割を果たしてきた資産が、遊び道具のように扱われている」と見解を示した。

米財務省は9日に最大60億ドル相当の長期国債を買い戻すと発表したが、10日の買い入れ額は51億9000万ドルにとどまった。ベッセント氏は10日、「われわれは安い場合だけ国債を買い戻す」と述べ、懸念を一蹴した。

ウェットン氏は、元ヘッジファンドトレーダーのベッセント財務長官が主導する長期国債の買い戻しについて、利回り上昇(相場下落)局面におけるアービトラージ(裁定取引)と表現した。

「システムが壊れたと言うのは、大げさかもしれないが、財務長官が債券投資家を戒め、財務省の商品(米国債)をアービトラージの対象とする介入に動いたにもかかわらず、1兆3000億ドル規模の追加借り入れにつながりかねない財政出動を上司が即興で発表するとは、正気の投資家なら夢にも思わないだろう」と同氏は主張した。

原油価格が数カ月ぶりの高値を付ける中で、長期国債の買い戻し上限増額にもかかわらず、米30年国債利回りは急上昇した。ウェットン氏によれば、米国債が敬遠されたことで、ドル建て債の米国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は著しく縮小した。

より大きな問題として、ドル建て資産の配分にそれが何を意味するか、退職年金基金がヘッジ比率を素早く引き上げるかどうかにも同氏は言及した。「トランプ政権がホワイトハウスのローズガーデンで、2025年4月に貿易相手国・地域への上乗せ関税を発表した時点で、ダムの亀裂が始まった。位置エネルギーは、その後より動的に変化した」という。

原題:US Treasury Market Being ‘Treated as a Play Thing,’ Westpac Says(抜粋)

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