欧州中央銀行(ECB)は10日の政策委員会会合で、中銀預金金利を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き上げ、2.50%とすると決定した。インフレ率が2%を大幅に上回る状態が続く兆候に対応した。

市場も利上げを予想していた。ECBの利上げは6月以来2会合ぶりで、今年2回目。

ECBは声明で「中東での戦争は引き続きインフレ圧力を生み出しており、インフレ率は長期にわたって目標を大幅に上回る見通しだ。先行きは依然として極めて不透明で、インフレには上振れリスク、経済成長には下振れリスクがある」とした。

約3年ぶりの高いインフレをもたらしたエネルギー価格急騰への対応を巡り、ECBは他の主要中央銀行に先行して利上げに踏み切った。トレーダーは現在、2027年10月までにさらに3回の利上げが実施されると完全に織り込んでいる。

ラガルド総裁は会合後の記者会見で、今回の利上げは「迷う余地のない判断」で、全会一致で決定したと説明し、今後の政策対応については「毎回の会合で判断する」と述べた。また、市場の利上げ観測について問われ、「市場は市場がすべきことをし、われわれはわれわれがすべきこと、つまり物価の安定を実現する」と述べるにとどめた。

米連邦準備制度理事会(FRB)とイングランド銀行(英中央銀行)は、イラン戦争を受けた金融引き締めにはまだ踏み切っておらず、来週も政策を据え置く可能性がある。

ECBのラガルド総裁は、政策委員会会合後の記者会見で、今回の利上げ決定について、ECBが公表する3つの経済シナリオのいずれを前提としても妥当だとの認識を示した

新たな見通し

ECBの今回の決定は、新たな経済見通しを踏まえたものだ。ECBはインフレ率について、今年平均3%となった後、2027年に2.5%、28年には2.1%へ鈍化すると予測している。ユーロ圏の域内総生産(GDP)成長率が4-6月期に大きく加速したことを受け、今年通年の成長率見通しを0.9%に上方修正した。

ラガルド氏は、4-6月期(第2四半期)は経済成長が「国や業種を問わず幅広くみられた」として「こうした傾向は7-9月期にも続いている可能性が高い」との見通しを示した。

ただし、エネルギーコストの上昇が徐々に基調的なインフレや食品価格の上昇に波及するとも述べた。ラガルド氏は、「中東での戦争と、ロシアによる不当なウクライナ戦争を巡る動きにより、エネルギー価格の見通しはさらに切り上がった」として、「総合インフレ率は2027年前半にかけて目標を大幅に上回る可能性が高い」と述べた。

原油価格は10日に1バレル=105ドルに達し、欧州の天然ガス価格もロシアによるウクライナ侵攻後の2022年冬以来の高水準となっている。ユーロ圏の8月の消費者物価は、前年同月比3.3%上昇した。

一方、明るい兆候もある。基調的なインフレ率は鈍化し、注目度の高いサービス価格の指標も低下した。賃金上昇圧力も和らいでいる。

7月の政策委員会会合では、一部の当局者がインフレ率を目標に戻すには「やや引き締め的」な政策姿勢が必要になる可能性があると主張していた。足元の情勢は、こうした懸念の緩和につながりそうだ。

原題:Lagarde Calls ECB Hike ‘No Brainer’ as Markets Bet on More Ahead(抜粋)

(ラガルド総裁の会見内容を加え更新します)

--取材協力:Arno Schuetze、市倉はるみ、Alice Gledhill、William Horobin、James Regan、Alessandra Migliaccio、Bastian Benrath-Wright、Joel Rinneby、Barbara Sladkowska、Dara Doyle、James Hirai、Kristian Siedenburg、Christoph Rauwald、Nick Heubeck、Angela Cullen.

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