(ブルームバーグ):世界的に起債が急増している。ディール担当者や投資家が夏季終盤の閑散期を終えて市場に戻ってきた。
米市場では8日、計18社が社債の発行に向けて投資家へのマーケティングを進めており、約1カ月ぶりの多さとなった。欧州では20の発行体が債券発行で約277億ユーロ(約4兆9400億円)を調達し、ブルームバーグがまとめたデータによると、6月9日以来の起債ラッシュとなった。
9月は夏季休暇明けで例年、起債が最も活発になるが、今年は今週から主要中央銀行の会合が相次ぐほか、11月には米国の中間選挙を控えており、特に注目が集まっている。
発行体は、タイトなクレジットスプレッドと底堅い投資家需要が重なる環境を積極的に活用しようとしている。一方、財政赤字を巡る懸念の高まりや中東で続く戦争により、市場のボラティリティーが再び高まり、一部の借り手は起債を見送っている。
数十年ぶりの低水準付近にあるクレジットスプレッドは、ここ数週間で拡大し始めている。それでも投資家は、格付けの高いドル建て社債で平均約5.5%の利回りを確保できる。こうした利回りは、中東紛争の余波やエネルギー価格の上昇が堅調な企業利益を損なうリスクを埋め合わせる要因となっている。
欧州中央銀行(ECB)は10日に利上げすると予想されているほか、11日には米インフレ指標の最新データが発表される予定だ。米連邦準備制度当局者は、このデータが利上げするかどうかを判断する上で極めて重要になるとの見方を示している。
クレジットサイツのアジア戦略責任者ツェリーナ・ツェン氏(シンガポール在勤)は、「米金利がより長期にわたり高止まりする可能性があるため、発行体は起債を前倒ししている公算が大きい」と指摘し、「クレジットスプレッドは依然としてタイトで、市場心理も強い」と述べた。
米アルファベットなどのハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)は、設備投資の資金を調達するため、世界の債券市場を利用する動きを強めている。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)によれば、こうした設備投資は2030年までに6兆ドル(約920兆円)に達する可能性がある。
シティグループの大中華圏債シンジケート責任者シシ・スン氏によると、「企業はデータセンターの増設やインフラ、コンピューティング能力の資金を確保するため、債券市場を積極的に活用している」という。「こうした資金需要により、世界の社債発行額は過去最高水準に押し上げられている。この動きは米国や欧州だけでなく、アジア全域でも見られる」と同氏は語った。
アジア勢では、みずほフィナンシャルグループやオーストラリアのコモンウェルス銀行、マレーシアのマラヤン・バンキングなどの金融機関が資金調達を目指している。オリンパスは、起債の可能性を視野に銀行を起用した4社のうちの1社。
原題:Global Bond Rush Builds as Issuers Race to Avoid Headwinds(抜粋)
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