(ブルームバーグ):米軍は8日、原油を積んだイランのタンカー5隻を破壊した。イランが2日間で2度、米海軍艦艇を弾道ミサイルで攻撃しようとしたことへの対抗措置となる。米中央軍が明らかにした。
米軍は8日の声明で、イランのミサイルは米艦艇に命中せず、現在も周辺海域を哨戒していると説明。米側に負傷者はいなかったとしている。艦名は明らかにされなかった。
米軍が破壊したイラン船籍のタンカーはイスラム革命防衛隊(IRGC)が保有していた。米中央軍によると、米軍は乗組員に退避を呼びかけた後、タンカーを「使用不能」にした。5日にも、イランが米空母と誘導ミサイル駆逐艦への攻撃を試みたのを受け、イランの原油タンカー3隻を破壊していたという。
ルビオ米国務長官はコロンビア訪問中、記者団の質問に対し、「米海軍艦艇を攻撃しようとすれば、自分たちも攻撃を受ける」と述べた。「応酬の構図は非常に単純だ」とし、「そうした攻撃をする、あるいは試みるたびに、タンカーを失うことになる」と語った。
一連の報復攻撃は、米国が直接的な軍事攻撃から、イラン政府に持続的な経済圧力をかける戦略へ軸足を移す難しさを浮き彫りにした。トランプ米大統領や国防当局者は、イラン軍は事実上、行動不能になったと繰り返し主張。ベッセント米財務長官も最近、圧力強化策について「大規模な軍事行動が再開する可能性は低いという意味だ」と述べていた。
米艦艇への攻撃はウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が最初に報じた。
米国が2月28日に開始したイラン戦争は、主としてイランの核兵器開発計画を抑制するためだと説明されてきたが、最近では国際航路として重要なホルムズ海峡を再開させることに焦点が移っている。米海軍はイラン産原油を積んだ船舶を封鎖し、イランはペルシャ湾から出ようとする外国船舶にミサイルを発射している。戦争前には世界の石油と液化天然ガス(LNG)の5分の1が同海峡を通過していた。
原油はアジア時間9日早朝の取引で上昇している。カーグ島の停泊地付近で爆発音が聞こえたとの報道を受けた。同島はイラン本土から約24キロ沖に位置する主要な石油輸出拠点で、同国の原油輸出の約9割がここから積み出される。イランのエネルギーインフラで重要な役割を担うため、今回のイラン戦争でも極めて大きな意味を持つ。
米軍によるカーグ島への攻撃はこれまで軍事施設を標的としてきたが、トランプ氏は以前から石油施設への攻撃を警告しており、同輸出拠点を掌握する可能性にも何度か言及している。
トランプ氏は、イラン軍は壊滅的な打撃を受け、米国の資産を攻撃できない状態だと繰り返し述べている。米政権は8月、軍事攻撃のペースを落とし、イランに経済的圧力をかける戦略に軸足を移すと発表したが、その後、報復攻撃の応酬が再開した。米財務省は8日、イランの航空分野を支援する数十社を制裁対象に指定した。
これに先立ち、イランの準国営タスニム通信は、米軍のミサイルがカーグ島沖のイラン籍タンカーに命中したと報じていた。
イランは報復としてヨルダンの空軍基地に弾道ミサイルを発射した。準国営ファルス通信がIRGCの声明を引用して伝えた。
イラン国営テレビはIRGCの声明を引用し、クウェートとバーレーンの埠頭(ふとう)付近にいる全てのタンカー乗組員は「停泊中か接岸中かを問わず、標的となるため直ちに船舶から退避すべきだ」と伝えた。
また、イランは8日、米国の最新鋭の水中ドローンを拿捕(だほ)したとも主張した。米国側は「欠陥があり、故障していた」として重要性を否定している。
イランはホルムズ海峡再開の合意を巡りオマーンと協議しているが、両国は船舶に通航料を課す可能性が高い。米国と同盟国は、かつて無料だった同海峡への課金に反対している。
原題:US Says It Destroyed Iranian Tankers After US Navy Ship Targeted(抜粋)
(米中央軍の発表などを追加して更新します)
--取材協力:Jen Judson、Arsalan Shahla.
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