財務省が8日に実施した5年利付国債入札は、投資家需要の強弱を反映する応札倍率が3.42倍と、過去12カ月平均(3.44倍)をやや下回った。市場参加者の間からは「弱めながら想定の範囲内」との声が出ている。

前回の応札倍率は4.15倍だった。最低落札価格は99円79銭(市場予想は99円84銭)。大きいと入札の不調を示すテール(落札価格の最低と平均の差)は4銭と前回(2銭)を上回った。長期国債先物9月物は結果発表後に一時上昇幅を縮めたが、再び買いが優勢になっている。

SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジストは「やや弱めだが、想定の範囲内だった」と語る。午前に金利が低下して調整不足だった上、ドル・円相場の動きが大きく「様子見したいという投資家も多かった」と言う。

午前の5年債の出来高が「過去数年見ないくらい膨らみ、買いたい投資家は先回りした可能性もある」と同氏は指摘。債券相場は「需給改善期待で金利低下局面に入っており、長期金利(新発10年債利回り)の3%は遠くなった」との見方を示した。

市場では、日本銀行の利上げ観測が強まっている。日銀の高田創審議委員は2日、利上げペースは「従来の半年に一度、年2回ではなく、新たな状況への機動的な対応が必要になる」と語った。

高市政権の財政拡張懸念もあり、長期金利は3.015%と1996年以来30年ぶりの高水準を更新した。その後、ベッセント米財務長官の発言などを受け、日銀がインフレに対して後手に回るビハインド・ザ・カーブ懸念が後退し、金利上昇は一服している。

5年債入札には異なる見方も出ている。東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジストは、最低落札価格が市場予想を下回っただけでなく、平均落札価格も予想より低く「明らかに弱かった」とみる。利回りの高さを受けた需要の強さより「日銀の早期利上げとペース加速への懸念が上回った」と指摘。先物が上昇幅を拡大しているのは「流通市場で買う投資家がいたためかもしれない」と述べた。

(7段落にコメントを追加します)

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.