(ブルームバーグ):韓国大統領府の金容範政策室長が1日、辞任した。金氏は個別株に連動するレバレッジ型上場投資信託(ETF)の導入を支持し、AIブームによる税収の上振れ分を財源とする「国民配当」の構想も提唱していた。政府は低迷する支持率の立て直しを図る。
大統領府によると、李在明大統領が同日、金氏の辞表を受理した。辞任理由を直ちに明らかにせず、後任も発表していない。政策室長は政権の経済・国内政策を統括するポスト。
李大統領は昨年6月の就任以来初となる大規模な内閣改造に踏み切ったばかり。財政経済相や国防相、国土交通相、法相ら複数の主要閣僚が突然交代し、一部の閣僚にとっても予想外の人事だったが、金氏は当初、留任していた。
金氏は更迭ではなく辞任という形で退いたため、李大統領の支持率への効果は期待ほど大きくない可能性もある。長安大学のパク・チャンファン教授(政治学)は閣僚交代でも流れを変えることはできなかったと指摘する。
パク教授は「大統領の意思も重要だ」とし、「更迭を一斉に発表していれば、より効果的だっただろう」と語った。
金氏は、政府が打ち出した主要政策の多くで立案の中心的役割を担う一方、サムスン電子やSKハイニックスの個別株に連動するレバレッジ型ETFが短期間で導入されたことを巡り、批判を受けた。個人投資家の資金を国内株に呼び込む取り組みの一環として、5月に上場されたこれらの商品は、その後、相場の極端な変動を増幅させる一因となり、当局は投資家保護策の強化に動いていた。
AIブームによる税収の上振れ分を財源とする「国民配当」構想も激しい議論を呼び、政府がこの臨時収入をどう活用するのか、市場の思惑を招いた。金氏は、企業利益を財源とするのではなく、税収の上振れ分を国民に分配するものだと説明した。
金氏は、半導体需要の急増を追い風に、巨額の投資を促す政府の取り組みでも中心的な役割を果たした。李政権は、AI革命で韓国経済が主要な役割を担うことを目指し、国内各地の半導体工場やデータセンターに少なくとも1350兆ウォン規模の企業投資を進めようとしている。
金氏の辞任により、李大統領の経済・政策チームには大きな穴が開く。李政権は現在、半導体ブームの恩恵をより幅広く家計に波及させようとしている。
世界的な半導体需要の堅調さが貿易や企業収益、政府歳入を押し上げる中、韓国経済が今年3.3%成長すると韓国銀行(中央銀行)は予測している。
ただ、表面的な高成長の陰で、経済には弱さが残る。生産年齢人口の減少と生産性の停滞を背景に潜在成長率は低下を続け、雇用の伸びも鈍い。半導体ブームの恩恵も、比較的少数の企業や労働者に集中したままだ。
原題:Korean Policy Chief Who Backed Leveraged ETFs Steps Down (2)(抜粋)
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--取材協力:Kevin Dharmawan.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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