(ブルームバーグ):防衛省の2027年度予算概算要求額は、過去最大の8兆8908億円となった。年内に改定する安全保障関連3文書の内容に左右される項目は金額に含まれておらず、最終的な防衛予算はさらに膨らむ見込みだ。
来年度に必要な予算額を財務省に示す概算要求では、現行の3文書を策定した22年末に想定していた以上の「速度・複雑さで国内外の情勢が変化」していると明記。「新しい戦い方」への対応として人工知能(AI)やドローンの導入を進める。長期戦への対応力向上のため、物資確保や輸送力の強化も盛り込んだ。
26年末には今後5年間の防衛に必要な金額や装備を示す防衛力整備計画などの安保関連3文書を改定する。そのため、金額未定の「事項要求」は資料に掲載した項目だけで160に上った。最終的な予算額は、例年12月までに行われる予算編成過程で検討する。
27年度と同様、3文書改定のため多くの項目で金額が未定だった23年度の予算額は、概算要求額から約18%増えた。
今回の要求では、滞空型ドローン「MQ-9B」17機の取得に2922億円超、極超音速誘導弾と関連装置の取得に1673億円超を要求した。相手国への反撃能力のあるスタンド・オフ防衛の強化も進める。潜水艦の建造やF35戦闘機の取得などは事項要求とし、金額を明示していない。
安保3文書改定
中国や北朝鮮、ロシアによる活動が活発化する中、高市早苗首相は就任直後、防衛関連費を25年度補正予算で増額し、海上保安庁予算などと合算して国内総生産(GDP)比2%とする目標を達成させる措置を講じると表明。26年中に3文書を改定する方針も打ち出した。
岸田文雄政権下の22年に策定した現行の3文書では、27年度に防衛関連費を国内総生産(GDP)の2%とする方針を掲げた。財源の一部は法人、所得、たばこの3税を引き上げて確保することも決定。法人税とたばこ税は26年4月から措置されたものの、先送りされた所得税は27年からの増税となった。
米国が日本を含む同盟国に対し、GDP比5%などの水準を挙げ、自国の防衛力増強を求める姿勢を強めている。北大西洋条約機構(NATO)諸国や韓国も中長期的にGDP比3.5%とする目標を掲げており、3文書改定では、新たな目標の設定が焦点となる。
ただ、対GDP比の引き上げは容易ではない。現行の目標は22年度の名目GDP(560.2兆円)が基準だが、足元の名目GDPは687.7兆円まで拡大している。GDP比2%の達成に必要な予算額は、単純計算で約11兆円から約14兆円。NATO並みの3.5%なら20兆円を超える。
政府方針に基づき為替レートの想定は1ドル149円としているが、足元では1ドル160円前後を推移している。防衛省は円安について、一部の装備品に影響が出ており、重要な課題だとの認識を示した。
予算措置を通じて国内投資の促進を目指す高市政権の方針を反映し、防衛費は「経済成長に貢献し得る投資としての意義」があるとも明記した。新設された複数年度で予算措置を行う「強く豊かな日本」投資枠の活用も視野に、「徹底的な国内投資を推進する」とした。
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