韓国の李在明大統領は、30日発表の内閣改造で経済政策に精通したキャリア官僚を新たな財政経済相に起用した。予想外の人事で、低迷する支持率に歯止めをかける狙いがありそうだ。

経済副首相兼財政経済相に指名されたのは、財政経済省第1次官の李炯日(イ・ヒョンイル、55)氏。約1年前に就任した具潤哲氏の後任となる。李政権で2人目の財政経済相として、ひずみが深まる韓国経済のかじ取りを担う。

韓国ではAI関連の半導体ブームの陰で、雇用の低迷や根強いインフレ、住宅市場の問題が経済の重しとなっている。

李大統領の支持率は低迷しており、ギャラップ・コリアが8月25-27日に実施した調査によると、支持率は前週から3ポイント低下し、過去最低の42%となった。李大統領に対する否定的な評価は初めて50%を超えた。

内閣改造は、政府内でも予想外だったようだ。韓国メディアによると、退任する具氏は発表直前に、20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するための出張をいったん取りやめたものの、その後撤回。財政経済省は後に、具氏が予定通り30日朝、米ノースカロライナ州アッシュビルに向けて出発したと明らかにした。

李炯日氏の指名は、国防や法務、国土交通、中小企業、性平等を所管する各省のトップ交代を含む、内閣改造の一環。大統領府も、AIや政府の大型投資プロジェクトを担当する高官人事を発表した。

キャリア官僚

李氏は1971年、大邱生まれ。ソウル大学で経済学を学んでいた92年に公務員試験に合格し、その後、米テキサスA&M大学で経済学の博士号を取得した。

公務員として30年以上勤務し、経済政策部門で要職を歴任した。文在寅政権では大統領府の上級補佐官に就任。保守系の尹錫悦政権でも高官として残り、統計庁(現国家データ処)のトップを務めた。今回の人事は、政府が半導体ブームの恩恵を経済全体に波及させることを目指す中で、専門知識と政策の継続性を重視していることを示す。

李氏は指名後、政府の大規模な半導体投資プロジェクトを活用して新たな機会を創出し、潜在成長率の回復に向けた基盤を整える考えを示した。また、半導体好況を生かし、格差への対応や国民生活の支援に取り組むとも表明した。

韓国のインフレ率は今年の大半を通じて中央銀行の目標である2%を上回っている。ここ4年近く、若年層の雇用は減少している。不動産市場で相次ぎ導入された規制も価格や需要抑制には至っておらず、議員や住宅所有者から見直しを求める声が上がっている。

内閣改造では、住宅政策を所管する国土交通省でも第2次官がトップに昇格し、与党議員が法相に指名された。前法相の鄭成湖氏は、検察庁の組織再編を巡り物議を醸した改革を主導した後、先週辞任していた。

国防相の交代は、トランプ米大統領が北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記との「非常に良好な関係」を理由に、韓国との合同軍事演習を一方的に縮小した直後となった。退任する安圭伯氏は、尹前大統領による戒厳令を巡る混乱の余波が残る中、軍出身ではない人物として数十年ぶりに国防相に就任。それ以前は国会議員を5期務めた。

原題:South Korea’s Lee Picks New Finance Chief in Surprise Reshuffle(抜粋)

--取材協力:Soo-Hyang Choi.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.