(ブルームバーグ):円相場が対ドルで再び160円台に下落した。一段と円安が進みやすい状況が浮き彫りとなり、円を支えるために当局が市場介入を再開する可能性も高まっている。
具体的な水準は不透明だが、ストラテジストらは急速な円安を食い止めるために当局が再び介入に踏み切る可能性がある水準として、まずは161円、さらに162-163円台を挙げる。ただ、円は7月末からの介入による上昇分を既に半分以上失っており、再介入しても時間稼ぎ以上の効果は期待しにくいとみている。
今回の円下落は米利上げ観測を背景にドルが全面高になったことが主因で、円相場を左右する要因の多くが日本側ではコントロールしにくいとの見方を裏付けている。円は7月末の介入後も155円より円高には進めず、その後再び下落圧力にさらされている。この介入では、米国が日本とともに1998年以来初めて円買いで協調した。
SMBC日興証券の丸山凜途シニア金利・為替ストラテジストは「まずは161円が意識され、次は前回当局が介入した162円90銭-163円30銭付近が注目される」と話す。ただ、前回の介入では政府が「奇襲性を維持することをかなり重視していた」とし、いつ介入があってもおかしくないとの見方を示す。
28日の海外市場ではウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長がインフレを抑え込む決意を改めて強調したことを受け、160円20銭まで円安・ドル高が進んだ。31日午後1時時点の円の対ドル相場はニューヨーク終値比0.2%高の159円80銭で推移している。
財務省のデータによると、円が約40年ぶりの安値に下落したことを受け、日本は7月30日から8月26日までの1カ月間に月次で過去最大となる15兆3993億円を投じて円の下支えに動いた。片山さつき財務相とベッセント米財務長官は、必要に応じて再び介入する構えを示している。
日本の当局者は介入を判断する際、特定の水準より相場変動の速さや無秩序な動きを重視すると繰り返し強調してきた。
ベッセント長官は30日、日本銀行の植田和男総裁が金融政策に関して「正しい行動を取る」と期待していると述べる一方、最近の円相場の動きは「かなり抑制されている」との認識を示したと、ロイター通信がインタビューを基に報じた。
スワップ市場では、9月の日銀利上げを90%の確率で織り込み、10月までの利上げが確実視されている。
ナショナル・オーストラリア銀行の通貨ストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「ドル・円が162円を超えてくると介入リスクが現実味を帯びてくる」とみる。その上で「ドルが全面高となり、FRBがタカ派姿勢を示している状況で介入に踏み切るのは難しい」と指摘する。
投機勢のポジションも再び円売り方向に傾いている。ヘッジファンドは介入直後に円の売り持ち高を大幅に減らしたものの、その後再び積み増している。彼らは2025年7月以降、円の売り越しを維持している。
コモンウェルス銀行のストラテジスト、キャロル・コン氏は「円安が急速に進めば、日本当局が再び介入するのに必ずしも日銀会合を待つ必要はない」と指摘。「ただ、9月利上げがかなり織り込まれている状況で、当局はまず金融政策による円の下支え効果を見極めたいと考える可能性がある」と言う。
結局のところ、日本の実質金利が大幅なマイナスにとどまる限り、介入だけで円相場の流れを反転させるのは難しいと市場関係者はみている。
オーバーシー・チャイニーズ銀行の為替ストラテジスト、モー・シオン・シム氏は「市場の予想以上に利上げできる余地には限界があり、日銀は大きなジレンマに直面している」と指摘。「円安の流れを反転させるには、資金の国内回帰を促す措置など、他の選択肢も活用する必要がありそうだ」と述べた。
--取材協力:グラス美亜.
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