米サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は、米国債市場が発信しているのは、現在の金融政策が適切な位置にあるというシグナルだとの見方を示した。

デーリー総裁は20日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで「われわれの信頼性を巡り、活発な議論がある。われわれの信頼性が危ぶまれているとは思わない」と述べた。「また、予防的な利下げや利上げをすべきかという話もよく耳にする。それが緊急に解決すべき問題だという証拠はあまり見当たらない」と続けた。

7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)以降、米国債は大きく売られてきた。同会合は5会合連続で金利据え置きを決定し、利上げが差し迫っているとのシグナルも発しなかった。売りは長期債で特に顕著となり、30年債利回りは2007年以来の高水準に急上昇した。この債券売りは、米債務の膨張と、5年以上にわたり連邦準備制度理事会(FRB)の2%目標を上回っているインフレへの懸念を反映している。

動画:米国債市場と金融政策についてブルームバーグテレビジョンで話すサンフランシスコ連銀のデーリー総裁

米財務省は19日、長期国債の買い戻しを拡大する計画を発表した。しかし、この発表による長期金利の押し下げ効果は長続きしなかったようで、翌日には債券価格が上昇分の大半を失った。デーリー総裁は財務省の措置についてコメントを控えた。

デーリー総裁は政策のシグナルを読み取る上で、債券価格に目を向けることは重要だと述べた。また、債券価格にはAI関連の製品やインフラの需要拡大も反映されている可能性があると付け加えた。

セントルイス連銀のムサレム総裁

同じような見解は、セントルイス連銀のムサレム総裁からも聞かれた。同総裁はCNBCとのインタビューで、債券市場の下落について、FRBの信認を巡る疑念ではなく、政府の資金調達とAIインフラ整備に伴う資金需要の増加が要因との見方を示した。

「政府による資金調達に加え、現在は米国や世界各地で資金を調達してAIインフラを整備しており、資金の奪い合いが起きている」とムサレム総裁は指摘した。「興味深いことに、インフレ期待は安定している。FRBの信認が疑問視されているわけではない」と強調した。

7月のFOMCでは3人の参加者が金利据え置きの決定に反対した。金融政策を引き締めなければインフレ率がFRBの目標まで低下しないとの懸念から、3人は利上げを主張した。

今年のFOMCで投票権を持たないデーリー総裁はこれまで、金利据え置きの決定を支持したと述べる一方、インフレがより広範かつ持続的な問題になるリスクは高まっていると指摘していた。

デーリー総裁は「私は7月の据え置きを強く支持した。今後は次回会合までに入ってくる情報を引き続き確認し、懸念すべき動きが形成されつつある兆候があるかを見極めている。今のところ、そうした兆候は見られない」と述べた。「最近発表されたインフレと労働市場のデータも、私の見方を特に変えるものではなかった」と続けた。

デーリー総裁は関税や原油高騰、AIが物価に及ぼすショックは一時的なものにとどまり、わずかに引き締め的な金融政策の下、インフレ率は再び鈍化に向かうとの見通しを改めて示した。労働経済学者である同総裁は、労働市場がインフレを押し上げている兆候は見られないとも述べた。

7月のFOMC以降に発表されたデータにより、FRBが近い将来の利上げを検討する必要性は低下している。6月と7月のインフレ指標はいずれも物価上昇の鈍化を示した。7月の小売売上高は減少し、雇用者数も予想外に減少した。トレーダーが織り込む9月利上げの確率は、7月末には70%を超えていたが、現在は約30%となっている。

原題:Daly Says Bond Market Showing Trust in Fed’s Policy Stance (2)(抜粋)

(第6-7段落にセントルイス連銀のムサレム総裁の発言を加えます)

--取材協力:Lisa Abramowicz、Jonathan Ferro、Annmarie Hordern.

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