(ブルームバーグ):原油相場はアジア時間17日の取引で上昇している。レバノンで戦闘が再燃し、ホルムズ海峡では船舶への攻撃が続いており、米国とイランの戦争終結に向けた合意の行方は不透明感を増している。
北海ブレント原油は1バレル=89ドルを上回る水準で推移している。先週は6%上昇した。代表的な米国産油種ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は83ドル前後。レバノンでは16日、イスラエルが親イラン・イスラム教シーア派組織ヒズボラを攻撃し、ここ数カ月で最も多くの死者を出す戦闘となった。イランと米国による協議は膠着(こうちゃく)状態に陥っているもようだ。

先週後半にはホルムズ海峡で攻撃を受ける船舶がさらに増え、アブダビ国営石油会社(ADNOC)関連の船舶も対象となった。それでも中東の産油国は、ペルシャ湾から大量の原油を運び出す取り組みを続けている。輸送量は市場が推計する日量400万バレルを上回っていると、事情に詳しい関係者が明らかにした。
原油相場は今年に入り40%以上上昇している。米・イラン戦争は6カ月目に入った。トランプ米大統領は、政権がイラン経済に大きな打撃を与える方針を示しており、11月の中間選挙までに紛争が終結するかどうかは気にしていないとしている。ベッセント米財務長官は、新たな制裁措置が今週にも発表される可能性があると述べた。
サクソ・マーケッツのチーフ投資ストラテジスト、チャル・チャナナ氏は、「イランを経済的に孤立させるという前例のない米国の措置、無期限の海上封鎖、そしてタンカーへの攻撃再開といった脅威により、供給のさらなる混乱リスクが高まっている」と指摘。「しかし、需要の低迷に加え、湾岸諸国が探知されないように輸出を継続していることから、価格上昇の勢いは引き続き抑えられている」と述べた。
一方、イランとオマーンは、ホルムズ海峡の管理方法を巡り合意に近づいているもようだ。ただ、米国は協議に参加しておらず、世界の原油と液化天然ガス(LNG)の約5分の1が通過していた同海峡での自由な航行の回復を伴わない条件には、同意しない可能性が高い。
イランのアミール・ハタミ陸軍総司令官は16日、同国の準国営ファルス通信に対し、ホルムズ海峡はイラン国民にとって「神から与えられた地政学的資産」であり、「この強みが以前の状態に戻ることは決してない」と述べた。「われわれは全力でこの力を守る」と語った。
アジアの一部石油会社は、原油の調達を増やしている。ホルムズ海峡に加え、紅海や黒海でも船舶輸送への脅威が高まり、供給に影響が出ているためだ。事情に詳しい関係者によると、インドの石油会社は通常より早めの確保を目指し、11月到着分まで調達を進めている。
一方、ロシアでは、ウクライナがほぼ連日、製油所への攻撃を再開したことで、燃料不足が生じている。既に少なくとも二つの地域でガソリンの配給制限が導入されたほか、石油製品の輸出も制限されている。
北海ブレント先物10月限はシンガポール時間午前10時1分(東京時間同11時1分)時点で0.6%高の1バレル=89.02ドル。WTI先物9月限は0.3%高の82.62ドル。
原題:Oil Advances With Lebanon Tensions and Hormuz Risks in Focus(抜粋)
(相場の水準を更新します)
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