(ブルームバーグ):AI需要に起因するメモリーチップ(記憶用半導体)不足、エネルギー価格高騰を背景にイングランド銀行(英中央銀行)はインフレ警戒を緩めておらず、今週発表の英消費者物価指数(CPI)は特に注目される。
19日に公表される7月のCPIデータでは、インフレ率の4カ月ぶりの加速が示される見通しだ。ブルームバーグが調査したエコノミストの予想平均によると、CPIは前年同月比2.9%の上昇が見込まれる。イラン戦争に伴う航空運賃上昇や家計の光熱費への影響波及に加え、AI関連部品の不足が電子機器価格を押し上げている。
これは下期を通じて続くと考えられるインフレ加速の始まり、物価圧力の好材料が続いていた状況の終わりを意味する。イラン戦争の影響が物価に一層はっきり反映されつつあり、英中銀の金融政策委員会(MPC)メンバーは今回のCPIの数字に不安を募らせることになりそうだ。
サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会でイングランドが3位と健闘したことや熱波もあって、6月の英国の国内総生産(GDP)成長率は前月比で予想外のプラスとなった。これを受け、前回のMPC会合で政策金利据え置きに反対票を投じたチーフエコノミスト、ヒュー・ピル氏は利上げを求める姿勢をさらに強めた。
インフレ見通しの多くの部分は中東情勢の展開に左右されるが、AIが予想外の影響をもたらすダークホースになりかねない。
英中銀は、AI能力の急拡大がスマートフォン、ノートパソコン、ゲーム機に使用されるメモリーチップのコストを押し上げつつあると警告している。アップルのノートPCやタブレット、マイクロソフトのXbox(エックスボックス)ゲーム機は既に値上げが予定されており、AI関連の物価圧力が今後数カ月で、変動の激しい食料品とエネルギーを除く物価上昇の主要因になる恐れがある。
ブルームバーグ・エコノミクス(BE)のチーフ英国エコノミスト、ダン・ハンソン氏らは「今年の英国のインフレ動向には、二つの主要テーマがある。国内要因によるコスト圧力は引き続き緩和傾向にあるが、外部要因、特にエネルギーが逆方向に作用し、ヘッドラインインフレ率が2%の物価目標に近づくことを妨げている。7月のCPIデータは、この傾向を裏付けるものとなるだろう。家計の光熱費が急増したことで、インフレ率は跳ね上がるとみている」と見解を示した。
米連邦準備制度理事会(FRB)は19日、7月28、29日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)会合の議事要旨を公表する。同会合では、9対3でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の据え置きが決まった。FOMC当局者が高インフレに対し、どの程度忍耐を失いつつあったか、投資家の理解が深まる可能性がある。
18日に発表される7月の米住宅着工件数は前月比で減少するが、7月の製造業生産は回復する見込みだ。21日発表のS&Pグローバル製造業購買担当者指数(PMI、8月速報値)は引き続き企業活動の拡大を示すと予想される。
原題:AI ‘Chipflation’ Washes Ashore in the UK Economy: Eco Week Ahead(抜粋)
(FOMC議事要旨の発表予定などを追加して更新します)
--取材協力:Andrew Langley、Kati Pohjanpalo、Brian Fowler、Brian Platt、Vince Golle、Monique Vanek、Robert Jameson、Mark Evans、Beril Akman.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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