減税で支持率回復は幻想? 消費税1%の「賛成52%」をどうみるか
7月30日、高市総理は国民会議での議論を踏まえ食料品の消費税を来年4月から8%から1%に引き下げ、残りの1%については中低所得者へ給付することで実質”消費税のゼロ化”を表明した。
政権幹部によると、高市総理は衆院選の公約実現に強く拘ったこと、各社の世論調査で「時間がかかってもゼロ%にすべき」よりも「早くできるなら消費税1%でもいい」の数字のほうが上回ったことなどを重く見たという。
総理が「悲願」とも語った史上初となる消費税の減税だが、表明直後のJNNの世論調査で賛成は52%、反対は39%だった。

年代別で見ると年齢が若いほど賛成が多く、年代が上がるにつれて反対が多くなる傾向だ。30歳未満は7割以上が賛成だが、60歳以上だと賛成より反対が上回り、反対が半数となる。

消費税は社会保障の財源だが、減税によって医療や年金など社会保障サービスの質の低下を懸念するかどうかも聞いたところ、全体では「不安」と答える人が52%と半数を超えている。
こちらも性別、年代別に分析したところ、男性より女性のほうがはるかに不安を感じていて、男性の「不安」が52%に比べ、女性の「不安」は70%にのぼっている。
年代別では、どの年代でも「不安」のほうが上回っているが、年齢があがるにつれて「不安」の割合が増え、60歳以上の69%が「不安」と回答した。

この結果に永田町では波紋が広がっている。
自民党内の減税反対派を押し切り、政治的コストをかけて決着したわりには多くの賛同を得られなかったからだ。
自民党のある税制調査会の幹部は「消費税引き下げるのに賛成52%は低すぎる。せめて7割の賛成は少なくとも欲しいところだ」とショックを隠しきれなかった。
野党でも中道改革連合の階猛幹事長は8月4日の会見で「賛成52%」について、まずその低さを「驚愕的な数字」と強調した上で、その理由について「2年後の再増税の不安が高まってきたこと」と「放漫財政ではないかという金融市場の高市総理への不安から長期金利が上昇したり、円安が進んだりということが起こってきたこと」の2点を挙げた。
国民民主党の玉木代表も8月4日の記者会見で「意外に反対が多いという印象」と話した上で、「メリット、デメリットが比較的正しく認識され始めた結果なのではないか」と分析した。
自民党内の減税反対派の多くは、総理が明確な財源を示さぬまま見切り発車になったことへの反対論が最も強い。消費税減税を“公約”に掲げて戦った衆院選から半年も経つというのに、なぜこの減税と財源をセットで表明できなかったのか。このままではマーケットへの信認を低下させ、円安や金利上昇が進めば一段の物価高を招く可能性すらある。こうした懸念がじわり国民に浸透し始めたのかもしれない。
政府・与党関係者の間では消費税を減税すれば支持率はあがるのでは、と期待を口にする人もいたが、総理の減税表明直後の調査で支持率の下降傾向に歯止めがかからなかったことをみると、減税が支持率回復にあまり寄与しなかったことがわかる。
高支持率を背景にこれまであまり”高市批判”が聞かれなかったが、減税議論をめぐり高市総理への不満も表面化し始めている。
秋の臨時国会の最大の焦点は消費税減税に向けた税制関連法案の改正になる見通しで、与野党双方から反対論が渦巻く中、高市総理にとっては大きな正念場を迎えることになる。
TBSテレビ政治部 世論調査担当デスク 室井祐作
【世論調査の設問と回答は以下】
●高市内閣の支持率は59.2%(先月よりも6.7ポイント下落)。不支持率は
37.6%(先月より6.8ポイント上昇)。
●政党支持率は、
自民 30.9%(1.4↓)
維新 2.9%(0.3↓)
国民 3.0%(0.3↑)
中道 1.9%(2.6↓)
立憲 2.4%(1.0↑)
参政 2.7%(1.2↓)
公明 1.4%(0.5↑)
みらい1.4%(0.0→)
共産 2.3%(0.1↑)
れいわ0.9%(0.4↑)
保守 0.4%(0.6↓)
社民 0.2%(0.0→)
その他0.4%(0.2↑)
支持なし46.4%(4.6↑)
●特別国会における高市政権の国会対応について「非常に評価できる」7%、「ある程度評価できる」40%、「あまり評価できない」33%、「全く評価できない」15%
●高市内閣のこれまでの物価高対策について「非常に評価できる」7%、「ある程度評価できる」32%、「あまり評価できない」36%、「全く評価できない」23%
●高市総理が表明した食料品の消費税を来年4月から2年間1%に引き下げる方針について「賛成」52%、「反対」39%
●減税を実施することで社会保障の質が低下するのでは不安を感じるかどうかについては「非常に不安だ」18%、「ある程度不安だ」44%、「あまり不安ではない」26%、「全く不安ではない」10%
●今回の皇室典範の改正において政府の説明が十分だったかどうかについては「十分だったと思う」21%、「十分だったと思わない」65%
●「副首都法」の成立について「評価する」50%、「評価しない」35%
●最も望ましい政権の枠組みについて
「現在の自民と維新の連立政権のままが良い」27%
「現在の連立の枠組みに他の政党を加えるべき」29%
「自民が維新との連立を解消し他の政党と組むべき」13%
「いまの野党による政権交代が望ましい」18%
【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。8月1日(土)、2日(日)に全国18歳以上の男女2851人〔固定791人、携帯2060人〕に調査を行い、そのうち36.2%にあたる1033人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話457人、携帯576人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。今後とも世論調査にご理解とご協力のほどよろしくお願いします。