政府・日本銀行は、4月末から5月の大型連休中に円買い介入を3日にわたり実施していた。そのうち4月30日は6兆円を超え、1日当たりの円買い介入額としては過去最大を更新した。

財務省が7日公表した4-6月の日次(にちじ)ベースの介入実績によると、政府・日銀は、円が対ドルで160円台から155円台に急騰した4月30日と、5月の4日、6日にドル売り・円買い介入に踏み切った。介入額はそれぞれ6兆2787億円、7802億円、4兆6759億円だった。

ゴールデンウィーク(GW)期間中には円が急伸する場面が複数日見られ、5月1日も介入観測が浮上していたが、介入は確認されなかった。近年の円買い介入は、2022年10月、24年4月-5月、同年7月のいずれも、2営業日連続か短期間のうち2日にわたって実施されている。

三村淳財務官は介入前、投機筋を念頭に「最後の退避勧告」と警告を発して市場をけん制。その後は介入の有無について明言を避けながら、市場の投機的な動きに警鐘を鳴らし続けていた。

介入日数の増加とともに、介入をより長い期間に分散させたことからは、市場の介入警戒感を持続させようとする当局の狙いがうかがえる。また、介入効果を長引かせるため、1兆円を下回る小規模な介入も辞さない姿勢を示唆している。

SMBC日興証券の丸山凜途シニア金利・為替ストラテジストはリポートで、今回は過去最大の初動を打った後、再び4兆円超の介入を余儀なくされた点に特徴があると指摘。日米金利差などによる資金フローを介入だけで反転させることは難しかったとみる。その上で、「今後の焦点は介入余力を維持できるかだ」との見方を示した。

5月27日まで1カ月間の円買い介入額は計11兆7349億円と、月次ベースで最大だった。5月末時点の外貨準備高では証券が大幅に減少しており、同期間の介入で米国債を含む外国証券が活用された可能性がある。

今回のデータからは従来の介入との類似点もある。24年春と同様に、当局は取引の薄くなる祝日期間を狙って介入し、効果を引き出そうとしたとみられる。また、介入を実施する上で当局者が日本にいることは必要条件ではないことも確認できる。

介入が行われた5月4日、片山財務相と三村財務官はウズベキスタン・サマルカンドで開催されたアジア開発銀行(ADB)年次総会に出席していた。22年と24年の円買い介入を指揮した前財務官の神田真人氏も、ジョージア滞在中に対応したことがあり、飛行機の中からでも介入の決定を下すことは可能だと語っている。

第一ライフ資産運用経済研究所の藤代宏一主席エコノミストは、今春の一連の介入は、従来の戦略から「大きく変わってはいない」と語った。一方、直近の日米協調介入や、日銀金融政策決定会合の前日夜の介入など「意表を突く作戦だ」とし、戦略に変化が出てきているとの見方を示した。

政府・日銀は7月30日のニューヨーク外国為替市場で円買い・ドル売り介入を実施。日銀のデータなどに基づくと、介入規模は約8兆4500億円と推定される。翌31日には日米が協調介入を行い、日本は約5兆3300億円の資金を投じたとみられる。

日米財務相は8月3日、7月31日に協調介入を実施したとする談話を発表。三村財務官は「日米通貨同盟の完成形」と表現し、両国の緊密な連携を強調した。

(エコノミストコメントと背景情報、チャートを追加して更新しました)

--取材協力:横山恵利香.

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