イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業スペースXのロケット「ファルコン9」の残骸が米国時間5日未明、月面に衝突したもようだ。このロケットは1年半ほど前に打ち上げられた。

衝突したとみられるのは、ファルコン9の上段部分。この部分は米宇宙開発企業ファイアフライ・エアロスペースと日本の月面開発スタートアップ、アイスペースの月探査機を2025年1月15日に打ち上げる際に使用され、それ以降は地球を周回していた。

だが、月に近づくこともしばしばあり、最終的に軌道が月と交差した。

このような衝突は月では頻繁に起きている。月の大気は薄いため、隕石は減速したり燃え尽きたりすることなく月面に絶えず直接降り注ぐ。制御を失ったロケットの部品や探査機が月に衝突したことは、これまでもあった。

米航空宇宙局(NASA)のジャレッド・アイザックマン長官は5日、FOXニュースに対し、「ファルコン9の第2段部分のようなものが月に衝突するのは非常にまれだ」と指摘しつつ、「現時点では大きな問題ではない。月はこれまでにもっとひどい状況に見舞われたこともあった」と語った。

2022年には中国製ロケットの残骸が月に衝突したことが確認されている。衝突時に飛散する物質を調べようと、NASAが意図的に探査機を月面に衝突させたこともある。

もっとも、今回の衝突は多くの宇宙開発企業が避けようとしている事態に該当する。すなわち、制御不能なまま宇宙空間を漂う大型の部品が引き起こす不測の事態だ。

スペースXをはじめとする打ち上げ事業者は通常、打ち上げ後に使用済みロケットを処分するか、他の宇宙ごみや人工衛星と衝突しない軌道へ移動させるよう努めている。

今回の物体が月に衝突すると最初に予測した天文学者のビル・グレイ氏は、「宇宙ごみが増えるほど、このような衝突が起きる可能性は高まる。その衝突によって、さらに細かな宇宙ごみが発生する」と、自身のウェブサイトで論じた。

グレイ氏ら複数の天文学者は、ファルコン9の部品が月に衝突する場所と時刻を正確に予測した。NASAも衝突まで監視を続け、地球から見える月面側の2つのクレーター、「アインシュタイン」と「ベル」の近くに衝突するだろうとの見方を示していた。

衝突によって月で噴煙が舞い上がる様子を地上の望遠鏡で観測できるとの期待もあったが、その観測に成功した例があったかは定かではない。

NASAは衝突で得られたデータを収集し、宇宙空間の物体を追跡する手法の精度向上に役立てる方針。

また、NASAの月周回衛星「ルナー・リコネサンス・オービター」など、月周辺に位置する探査機も衝突の様子を撮影しようと試みた。

原題:Stray Piece of SpaceX Falcon 9 Rocket Slams Into the Moon(抜粋)

--取材協力:Leen Al-Rashdan.

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