ベッセント米財務長官は4日、円安は日本のインフレの一因となっているほか、アジア通貨全体の下落を招くリスクを高めているとの認識を示した。その上で、為替相場の安定化に向けた取り組みを米国として支持する考えを改めて示した。

ベッセント氏は米経済専門局CNBCに対し、「問題なのは円の水準だ。それが別の問題を引き起こしたり、競争的な通貨切り下げを招いたりする恐れがある。それは健全ではない」と発言。「円相場の安定は米国だけでなく、アジア地域全体にとっても極めて重要だ」と述べた。

米国と日本は数日前に円買いの協調介入を実施した。円は過去数週間に対ドルで約40年ぶりの安値まで下落していた。

米国が追加の為替介入に踏み切るかどうか問われると、ベッセント氏は「日本とは緊密に連絡を取り合っている」と説明。「米経済や米国の納税者の利益にかない、世界経済の安定化にもつながる形であれば、日本を支えるために必要なことは何でもする」と語った。

円は日米による円買い介入を受けて急伸した。ただ、4日は上昇が一服し、1ドル=157円50銭前後で推移している。7月23日には一時164円近辺まで下落し、1986年以来の安値水準を付けていた。

ベッセント氏は、日本のインフレの「問題」の一因として円安の影響が物価に波及していることを挙げ、円安によってエネルギー輸入コストが押し上げられていると論じた。

その上で、「円が大幅に下落すれば、他の通貨もそれに追随することになる。韓国ウォンで過度な変動が見られている。中国人民元は過小評価されていると考える向きも多い」と述べた。

ヘッジファンドで数十年にわたり為替取引に携わった経歴を持つベッセント氏は、為替介入は「市場にシグナルを送る」ことはできるものの、最終的に相場の流れを変えるのは「政策だ」と指摘した。高市早苗首相率いる政権について、基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化を含め、「財政規律の方向に向かっている」との認識を示した。

円相場を安定させる上で日本銀行の利上げが必要か問われると、ベッセント氏は、日銀が取るべき対応について「先回りして判断するつもりはない」と発言。植田和男日銀総裁とは15年来の付き合いがあるとし、「必要なことは実行すると信じている」と語った。

「介入に続いて、政策面での後押しが必要になる。そうした対応が行われると強く確信している」と続けた。

市場にシグナル

7月31日の閣議中に撮影された写真では、ベッセント氏のメモ帳に「やるべきこと」として「円買い」と記されていた。同氏はこれについて、市場へのシグナルを意図したものだったと示唆した。

「私の肩越しに見ていた記者全員にも、日本円の通貨コードが『JPY』だと知ってもらいたかっただけだ」と冗談交じりに語った。

また、31日の為替介入で米国が円買いのためにユーロを使用したと報じられていることについて問われると、「欧州のパートナーとは緊密に連絡を取っていた。それには欧州中央銀行(ECB)」や一部の財務相が含まれると話した。

「単にわれわれの外貨準備の配分を見直しただけだと欧州側には説明した」とした上で、「ユーロは均衡水準にかなり近いように思う」と指摘。問題なのは「円が大幅に過小評価されていることだ」と続けた。

一方、ベッセント氏は2日、日本による円買いを支援するために活用できる制度として、米連邦準備制度の外国・国際通貨当局(FIMA)レポファシリティーの利用上限引き上げを要請していた。

原題:Bessent Says Yen Level Problem for Japan, Other Currencies (1)、Bessent Says Japan Is Making Efforts to Stem Yen Undervaluation(抜粋)

(最終段落に連邦準備制度に対するベッセント長官の要請を追加して更新します)

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