インドの金融機関が国外に住むインド人向けに提供する外貨預金の事業強化を急ぐ中、ドル建て債券・融資市場が活況を呈している。事情に詳しい関係者によると、世界の大手銀行は関連ビジネスの獲得に向けた動きを加速させている。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と英スタンダードチャータードは、ドル建ての債券と融資の双方で案件獲得を進めていると、両行の幹部が明らかにした。

非公開情報だとして匿名を条件に述べた関係者によれば、シティグループとHSBCホールディングス、バークレイズなど他の大手外国銀行も、インドの金融機関によるドル建て資金調達計画に絡み、起債や融資の組成に向けた協議を活発化させている。

この資金調達ラッシュにより、インドの銀行は年内にオフショア融資を通じて最大300億ドル(約4兆7000億円)を調達する可能性があるという。これまでに確保した127億ドルに加わり、年間調達額は約430億ドルと過去最高を更新する勢いだ。

一方、MUFGによると、インドの銀行や政府系金融機関は年末までに世界の債券市場で最大100億ドルを調達する見通し。ブルームバーグ集計データによれば、これまでに108億ドルを調達しており、これは5年ぶりの高水準となっている。

一般的に巨額のドル資産を保有し、インド向けエクスポージャーの拡大を目指す外国の金融機関は、資金供給やドル建て債の引き受けで有利な立場にある。

バークレイズとシティの担当者はコメントを控えた。HSBCはコメント要請に直ちには応じなかった。

インド中銀の取り組み

MUFGインド法人のシャシャンク・ジョシ副最高経営責任者(CEO)は、インド準備銀行(中央銀行)の最近の外貨流入促進策について、「外貨建て資金調達を目指す借り手が相次いで外銀に接触しており、ドル建て債務市場の活況が戻った」と述べ、「ドル建ての債券・融資案件の引き合いは非常に強く、2026年に過去最高額に達する公算が大きい」との見方を示した。

金融機関によるドル獲得競争は、世界で約3500万人の国外在住インド人から資金を呼び込み、通貨ルピーの相場下支えと外貨準備の積み増しを図るインド中銀の取り組みを受けたものだ。

銀行各行は9月30日までを期限とするドル預金に対し、7%を超える金利を提示している。同中銀はこうした預金を担保とした融資を認めており、一部の銀行は当初預金額の最大19倍まで融資を提供している。

さらに、銀行や政府系企業向けの特別な資金調達制度では、インド中銀が優遇条件の外国為替スワップ制度を提供し、海外借り入れの為替ヘッジコストを引き下げていることも、資金調達を後押ししている。この制度の利用期限は12月31日までとなっている。

スタンダードチャータード銀行のインド・南アジア資本市場部門責任者プラタメシュ・サハスラブデ氏は、「外貨建て資金調達のかなりの部分は融資を通じて行われそうだ」と指摘し、その理由としてドル建て債発行には通常より長い準備期間が必要になることを挙げた。

原題:Race for Diaspora Dollars Pumps Up India’s Bond, Loan Markets(抜粋)

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