セブン&アイ・ホールディングスは31日、ソフトバンクとPayPay、三井住友フィナンシャルグループ(FG)傘下の三井住友カードの3社から1000億円ずつ総額3000億円の出資を受けると発表した。ポイント連携による相互への送客や、膨大な購買データを活用した新たな事業機会の創出を目指す。

発表資料によると、3社はセブン&アイが保有する自社株を買い取り、合計で6.81%を保有する。同日、2030年度までに計画する計2兆円規模の自社株買いの一環として、4000億円分を取得すると公表した。このうち3000億円を資本提携する3社に割り当てる。自社株買いと組み合わせたスキームで、株式の希薄化を防ぐ。

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

セブン&アイは24年にカナダのコンビニ大手アリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けた。同社は翌年に撤退したが、さらなる買収リスクへの備えは喫緊の課題となっていた。

出資は事業の強化だけでなく、友好的な株主の後ろ盾を得る側面もありそうだ。

PayPayは約7500万人の登録ユーザーを抱え、セブン&アイの会員サービス「7iD」は加入者約3900万人を持つ。27年度中にも顧客基盤を統合し、ポイントの連携により顧客の囲い込みにつなげる。PayPayポイントをセブン-イレブンで使える商品券と交換するなどの施策を検討する。

一方、全国約2万2000店のコンビニ店舗網も協業の武器になる。1日に約2000万人が利用する購買データやPayPayの決済データから消費動向を詳細に分析し、より効果的なマーケティングや広告配信、新たな事業創出につなげることも検討する。

セブン&アイのスティーブン・デイカス社長は同日配信したビデオメッセージで、提携がコンビニを再定義する一歩になるとコメントした。実店舗とデジタル技術、データを融合させることで、一人一人の顧客に合わせたサービスを提供するという。

経済圏が拡大

PayPayを軸とするソフトバンク経済圏は、コミュニケーションアプリのLINEや、電子商取引(EC)のZOZOTOWNなど幅広いサービスに広がっている。資産運用の機能も強化しており、6月には生命保険会社を1300億円で買収して生保事業に参入すると発表した。

セブン-イレブン店舗網を取り込むことで、ソフトバンク経済圏は一段と拡大することになる。ただ、ファミリーマートは楽天、ローソンは三菱商事やKDDIらで運営する「Ponta」と連携しており競争も激しい。

3メガバンクグループがコンビニに大規模出資するのは国内初で、三井住友カードが加わる効果も焦点となる。同社が三井住友銀行と展開する個人向け金融サービス「Olive(オリーブ)」の顧客基盤拡大を狙う。

ソフトバンクの強みは、コンビニが抱える課題解決につながる可能性がある。AI開発に力を入れており、人流や気象データを活用した需要予測や、AIが自律的に作業をこなすサービスを提供している。コンビニは物価高や人件費の高まりに直面しており、店舗運営の省人化や効率化にも取り組む。

セブン&アイの広報担当者は「我々だけで内製化したノウハウでは戦っていけない」と説明した。

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