韓国の半導体メモリー大手SKハイニックスの米国預託証券(ADR)は米国での上場後、 韓国上場株に対して大幅なプレミアムを示してきた。株式とADRの相互転換開始を機に、その妥当性が厳しく問われることになりそうだ。

裁定取引によって価格差が縮小するのか、それともプレミアムが維持されるのか。相互転換の開始で初めて本格的な検証が始まる。

今後の流れは次の通りだ。

SKハイニックスは相互転換に向け、どのような手順を踏むのか

SKハイニックスは29日、ADRの裏付けとなる普通株を韓国で発行し、韓国市場での売買を開始する。ADRの預託銀行であるシティグループの通知によると、ADRの発行・消却の受け付けが米国時間30日に始まる。

これにより、投資家は韓国市場と米国市場の間で株式を相互に転換できるようになる。

相互転換の仕組みは

ADRの保有者は、ADRをシティグループに提出して消却し、韓国預託決済院(KSD)を通じて、裏付けとなる韓国普通株の交付を受けられる。一方、韓国上場株の保有者は、その株式を預託銀行に預託することで、米国市場でADRの発行を受けられる。

市場関係者は、転換に要する期間や手数料は他の韓国企業のADRとほぼ同水準で、手続きには3-5日程度かかるとみている。

韓国上場株をADRへ転換できる余地はどの程度あるのか

SKハイニックスは、ADRに転換できる株式数の上限を発行済み株式総数の2.5%としている。KSDによると、この転換枠はすでに上限に達している。

そのため、ADRを保有する投資家が消却を行い、韓国株へ戻さない限り、新たに韓国株をADRへ転換することはできない。

SKハイニックスのADR1口は普通株0.1株に相当する。規制当局への届け出によると、ADR保有者は消却によって、裏付けとなる韓国株を受け取ることが可能だ。

もっとも、この制約が長く続くとは限らない。SKグループの崔泰源会長は10日、ブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、投資家のリターンが良好で株価も安定していれば、ADRの追加発行に前向きな考えを示した。

ADRのプレミアムにはどのような影響があるのか

新たなADRを自由に発行できない状況では、ソウル市場とニューヨーク市場の価格差を利用した裁定取引の機会は限られる。

その結果、とりわけAI関連銘柄への投資熱が続く局面では、ADRが韓国上場株に対して高いプレミアムを維持する可能性がある。

アカディアン・アセット・マネジメントのポートフォリオマネジャー、オーウェン・ラモント氏は「双方向の転換が可能であれば、プレミアムもディスカウントも生じない。仕組み上、価格差は解消される。しかし一方向の転換が止まれば価格にゆがみが生じる可能性があり、それがいつ解消されるかは分からない」と話した。

これまでSKハイニックスのADRは韓国株に対して最大51%のプレミアムで取引されてきた。28日の米市場終値でもプレミアムは約22%だった。今月のADR上場以降、プレミアムの平均は約26%となっている。

ADRの大幅なプレミアムは他の市場でどう推移してきたのか

台湾積体電路製造(TSMC)のADRは、台湾上場株を上回る価格で取引されることが多い。ADRは台湾上場株に自由に転換できる一方、台湾上場株をADRへ転換するには規制当局の承認が必要だ。また、TSMCのADRは幅広い株価指数に組み入れられているため、これらの指数に連動する上場投資信託(ETF)はADRを購入する必要がある。

ブルームバーグが集計したデータによると、TSMCのADRは過去3年間の平均プレミアムが17%となっている。

原題:What Will SK Hynix’s Share Conversion Mean for Its US Premium?(抜粋)

--取材協力:Yiqin Shen.

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