(ブルームバーグ):米金融当局は29日まで開く連邦公開市場委員会(FOMC)会合で、5会合連続の金利据え置きを決める見通しだ。ただ、当局者の間ではインフレ高止まりへの懸念が強まっており、市場参加者は予想外の利上げの可能性も意識している。
金融当局は今年に入り、関税やイランとの戦争による一時的な物価上昇圧力が和らぐのを見極めるため、政策金利を据え置いてきた。しかし、需要を抑制するために金利を引き上げなければ、インフレ率は2%の当局目標に戻らないとの懸念が強まっている。
市場には不透明感が広がっており、それは将来の政策金利の方向性についてのフォワードガイダンスを打ち切るとするウォーシュ連邦準備制度理事会(FRB)議長の姿勢による部分が大きい。議長はインフレ率の引き下げに取り組む姿勢を示す一方、そのために政策金利の引き上げを支持するかどうかは明らかにしていない。
サンタンデールUSキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スティーブン・スタンリー氏は、「米金融当局が何をすると考えているか、実際に何をするかにかかわらず、これは私たちが新たな時代に入ったことを示す好例だ」と述べた。
その上で、「今回はFOMC会合を前に、本当に結果が読めない状況となっている。私は7月は据え置くとみているが、当局が利上げに踏み切る可能性も決して小さくないと考えている」と語った。
FOMCは米東部時間29日午後2時(日本時間30日午前3時)に声明を発表し、ウォーシュ議長は2時半から就任後2回目となる記者会見に臨む予定だ。議長は、経済や金利見通しに加え、連邦準備制度で広範な制度改革を進める方針についても質問を受ける可能性が高い。
今回の会合後には、四半期経済予測の発表はない。
政策金利見通しに変化
米金融当局は2025年9月、10月、12月の3会合連続でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを引き下げた後、今年に入り政策金利を据え置いている。しかし、1月から6月にかけては、労働市場が安定し、基調的なインフレ率の鈍化傾向が止まったことを受け、政策金利の見通しは大きく変化した。
まず、会合後の声明から、追加利下げを示唆する政策バイアスを取り除くことを支持する当局者が増えた。さらに、先月公表された政策金利見通しでは、予想を提出した18人中9人の当局者が年内に少なくとも1回の利上げが必要になるとの見方を示した。その背景には、イランとの戦争による原油相場への影響以外の要因もある。
ウォラーFRB理事は、今年早い段階には労働市場の軟調を懸念していた。だが、最近数カ月は物価上昇圧力が幅広い分野に広がっているとの認識を示し、近い将来の利上げの可能性にも言及した。他の複数の当局者も同様の見方を示している。
ウォーシュ議長が自身の政策スタンスを明らかにしていないことで、当局が今回の会合でどのような決定を下すのか、不透明感が広がっている。FF金利先物が織り込む利上げ確率は会合を前に一時40%まで上昇した。28日午後の時点でも約35%と見込まれており、政策金利決定前日としては異例の展開となっている。
マネタリー・ポリシー・アナリティクス(MPA)のエコノミスト、デレク・タン氏は、利上げが実施されればウォーシュ議長の信認向上につながるとの見方を示した。その場合、議長が繰り返し掲げてきた物価安定の回復に本気で取り組む姿勢を示すことになる一方で、据え置きならば「口先だけで実行力が伴わない」との評価が定着するリスクがあると、タン氏は指摘した。
もっとも、6月の消費者物価指数(CPI)が予想よりも落ち着いた数値となったことは、今回の会合で利上げを見送る根拠となる。ウォーシュ議長は、インフレ率の先行きを見極めるには、なお時間が必要だと主張する可能性もある。
FRBウオッチャーは、金利据え置きの場合、FOMCの中核メンバーが利上げ支持にどこまで近づいていたのかを示す手掛かりを探ることになる。インフレへの警戒感が強まっていることで、一部の当局者が利上げを主張して反対票を投じる可能性もある。その有力候補としては、ダラス連銀のローガン総裁とクリーブランド連銀のハマック総裁が挙げられる。
原題:Hike or Hold? Fed’s Warsh Has Markets Unsure: Decision-Day Guide(抜粋)
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