(ブルームバーグ):波に乗っていたモメンタム取引が急速な売りに見舞われ、強気派の個人投資家に大きな打撃を与えている。
ロビンフッド・マーケッツやマーベル・テクノロジーなどを含む、個人投資家に人気の50銘柄で構成するバスケットは、月間で2022年以来の大幅安となる見通し。ラッセル1000指数採用銘柄のうち、個人投資家の参加比率が最も高い企業で構成するジェフリーズのバスケットは、6月以降に価値の4分の1超を失った。
個人投資家は次の注目テーマに飛びつく傾向があり、その姿勢はしばしば「YOLO(人生は一度きり)」の略語で表現される。しかし、モメンタムが市場の寵児から格好の売り対象へと一変した7月は、その投資手法が裏目に出ている。上昇率の高い銘柄を買い、下落率の大きい銘柄を空売りするこの戦略は、ブルームバーグが追跡する11のクオンツファクターの中で、今月これまでで最も成績が悪い。
ヴァンダ・リサーチのグローバル・マクロ・ストラテジスト、ビラジ・パテル氏は「モメンタム相場を主導してきた半導体やAIハードウエア関連銘柄は長年、個人投資家のポートフォリオの中核を占めてきた」と指摘する。

モメンタム取引の苦境の背景には、複数の懸念が重なっている可能性が高い。まず、巨額のAI投資が期待通りの成果を上げられるのか不透明で、ヘッジファンドはテクノロジー株の持ち高を記録的なペースで解消している。
その後、米国とイランの戦闘再燃に加え、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げリスクも意識され、過度に混み合っていたモメンタム取引への投資家心理は一段と悪化した。
今回の売りは、個人の投資意欲にも影響を及ぼした。ヴァンダ・リサーチによると、個別株に対する個人投資家の週間買い越し額(ローリングベース)は、新型コロナウイルス禍以来の水準に落ち込んだ。JPモルガン・セキュリティーズのデータでは、22日までの1週間の個人投資家の資金流入額は57億ドル(約9300億円)となり、過去12カ月の週間平均である68億ドルを下回った。
セクター別では、テクノロジー関連の上場投資信託(ETF)で幅広い資金流出がみられた。中でも、ディレクション・デイリー・セミコンダクター・ブル3Xシェアーズ(ティッカーSOXL)やヴァンエック・セミコンダクターETF(同SMH)は、流出額が特に大きかった。
JPモルガンのアルン・ジェイン氏は、「個人の投資意欲後退は、モメンタム相場の売りを巡る最近の市場の神経質な動きと一致している」と指摘した。
もっとも、JPモルガンのデータによると、個人投資家が株式市場から一斉に資金を引き揚げているわけではない。むしろ、投資対象の選別色を一段と強めている。マイクロソフトやエヌビディアには引き続きまとまった買いが入る一方、アップルやテスラへの売り圧力は強い。
前述のパテル氏は、「個人投資家の資金フローは非常に分散している。昨年のような『AIなら何でも買い』という状況とは異なり、個人投資家は銘柄を非常に厳しく選別している」と述べた。
モメンタム取引の急落を受け、複数のトレーディングデスクが顧客に押し目買いを勧めている。UBSセキュリティーズのマイケル・ロマーノ氏は、今回の下落によって投機的な過熱感の大半が解消され、株価の下支え要因になった可能性があるとリポートで指摘した。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のトレーディングデスクも、利益確定売りを経て米国のモメンタム株は魅力的な買い場に達したとの見方から、顧客に買いを推奨している。
BofAの米国モメンタム株バスケットは過去3営業日で8.9%上昇し、2024年11月以来の大幅な上げを記録した。UBSのモメンタム指数も11%急伸し、3営業日ベースで2022年以来の大幅高となった。
パテル氏は「モメンタム相場、ひいては個人投資家にとっても、このところはジェットコースターのような展開だった。しかし、売り圧力が和らぎ、買い手の様子見姿勢が解消されれば、本格的な反発に向けた環境は一段と整うだろう」と述べた。

原題:Momentum Crash Hits YOLO Traders’ Returns by Most in Four Years(抜粋)
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