(ブルームバーグ):アジアで今年の運用成績が最も好調な環境ファンドは、日本株への投資を拡大している。AIの普及に伴い急増する電力消費問題の解決に向け、日本企業のテクノロジーが一段と重要な役割を果たすとみているためだ。
ロンドンを本拠地にサステナブル投資に特化したインパックス・アセットマネジメントのシニア・ポートフォリオ・マネジャー、オスカー・ヤング氏(香港在勤)は「日本企業の多くは独自性が高く、ほぼ独占的な地位にある」と指摘し、「サプライチェーンから日本企業の製品を外すと、特に最先端の生産能力では事業自体が成り立たなくなる」とブルームバーグのインタビューで語った。
仏銀のBNPパリバが出資するインパックスが実質的に運用し、環境問題の解決に寄与するアジア企業を投資対象としたBNPパリバ・グリーン・タイガーズ・ファンドは今年に入り34%上昇。ブルームバーグのデータによると、成績は競合する環境ファンドの多くを上回り、上位となっている。
6月末時点で約2億800万ドル(約340億円)のポートフォリオを運用するヤング氏によると、投資テーマの「中核を担う」日本企業が好パフォーマンスをけん引。グリーン・タイガーズは過去12カ月の間に日本株の組み入れ比率を引き上げた。日本の配分比率は6月末時点で約23%と台湾の21%、中国の18%、韓国の15%を上回りトップだ。
組み入れ銘柄上位には台湾積体電路製造(TSMC)や韓国のSKハイニックス、日本から半導体製造装置の東京エレクトロン、半導体露光で使われるフォトマスクブランクスのHOYA、工場自動化(FA)センサーのキーエンスが並ぶ。ただし、直近では国別配分と組み入れ上位銘柄は共に変化している可能性はある。
AI向けデータセンターの電力消費の急増は環境ファンドの投資テーマの一つで、エネルギーの省力化につながるテクノロジーや半導体関連の企業は有望な投資先候補となっている。ブルームバーグ・インテリジェンスの予測では、2030年のAIの電力消費量は25年比で2倍になる見通しだ。
ヤング氏も「AIデータセンターは環境問題の中心」で、人類にとって次世代へのブレークスルーにつながる最も重要な新技術だと強調。組み入れ上位に並ぶ東京エレクは小型で消費電力の少ない先端半導体の生産に寄与しており、省エネ技術の最先端企業と位置付ける。東京エレク株の年初来上昇率は92%。
グリーン・タイガーズは欧州連合(EU)のESG(環境・社会・ガバナンス)投資ルール「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」で最も厳しい分類の第9条に基づくいわゆる「9条ファンド」だ。同規則では、エネルギー・資源効率、再生可能エネルギー、水利用、温室効果ガス排出削減などの環境目標に貢献する投資を「サステナブル投資」と定義している。
ヤング氏は、今後はエネルギー分野の中でも「貯蔵を巡る新興技術に重点が移る」と予想し、アジア企業でも付加価値の高い領域へ移行する流れが見られ、「単なる追随者から幾つかの分野ではリーダーへ変わりつつある」と言う。
もっとも、世界の株式市場ではこの数カ月、AIブームの先行きに対する懐疑的な見方に加え、株価の急上昇で関連銘柄に対し割高感が広がっている。ヤング氏は半導体メモリーのほか、AIデータセンターの安定稼働に欠かせない電源部品の積層セラミックコンデンサー(MLCC)企業の一部を組み入れから外したと明かし、売却したのは「バリュエーションが理由だった」と述べた。
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.