(ブルームバーグ):AIブームでウォール街の勝ち組と負け組が大きく入れ替わる中、小型株は市場で最もリスクの高い投資先から、相対的に安定した投資先へと変わってきた。しかし、米国債利回りの上昇がその流れに水を差す恐れがある。
米10年債利回りは月間ベースで4カ月連続で上昇し、23日には4.7%と2025年1月以来の高水準を付けた。22Vリサーチのストラテジストがまとめたデータによると、10年債利回りが4.6%を上回る局面では、ラッセル2000指数は短期的に軟調な展開となる傾向がある。
AI相場の先行き不透明感から、ハイテク株中心のナスダック100指数は危機時並みの高いボラティリティーに見舞われている。一方、小型株は米景気への楽観を支えに堅調さを維持。今年の上昇率は19%と、ナスダック100指数やS&P500種株価指数を上回っている。
22Vリサーチのデリバティブ戦略責任者、ジェフ・ジェイコブソン氏は「利回りが上昇し続ければ、上場投資信託(ETF)の『iシェアーズ・ラッセル2000 ETF』は再び下落に転じるリスクが相応に高まる」と顧客向けリポートで指摘した。ラッセル2000指数の下落に備える手段として、同ETFのプット・スプレッドを買う戦略を推奨している。

イランとの戦争勃発時には、小型株も市場全体と歩調を合わせて下落した。しかし、その後は主要株価指数を上回る勢いで持ち直した。エネルギー価格の下落でインフレ懸念が和らぎ、米経済のファンダメンタルズも底堅さを維持したことが追い風となった。
アライアンス・バーンスタインがまとめたデータによれば、小型企業の約70%は売上高の少なくとも90%を米国内で稼ぐ。一方、ラッセル1000指数構成企業では、その割合は40%未満にとどまる。
夏場に入りAI投資への過熱感が後退し、市場に慎重ムードが広がった局面では、内需中心の小型株が相対的な下支え役となった。iシェアーズ・ラッセル2000 ETFの1カ月物インプライドボラティリティー(IV、予想変動率)は先週、大型ハイテク株ETFの「インベスコQQQトラスト・シリーズ1」を6ポイント下回った。小型株のボラティリティーが大型株を上回るという長年の傾向が逆転した。
ブルームバーグがまとめたデータによると、両ETFのインプライドボラティリティー格差(ラッセル2000 ETFがインベスコQQQを下回る幅)がこれほど大きなマイナスとなったのは、今世紀では数回しかない。2018年に2回、新型コロナウイルス禍、2023年の強気相場初期などに限られる。
シティグループの米国株取引戦略責任者、スチュアート・カイザー氏は、こうした格差は来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前に、オプション投資家にとって好機になると指摘する。7月29日のFOMCでは政策金利が据え置かれるとの見方が大勢だが、CMEグループのフェデラルファンド(FF)金利先物によると、予想外の利上げが実施される確率は30%に上る。市場では来年に借り入れコストが一段と上昇する可能性も相応に織り込まれている。
カイザー氏は「ラッセル2000指数は本来の値動きにもう少し近づくと考えている。つまり、景気循環や金利動向の影響を受けやすいという特徴だ」と述べた。その上で、「S&P500種とナスダック100指数、ラッセル2000指数の3指数では、ラッセル2000指数がFOMCの結果に最も敏感に反応する可能性が高い」と指摘した。
カイザー氏によると、先月実施されたラッセル2000指数の大規模な銘柄入れ替えにより、同指数は金利動向の影響を受けやすい構成になった。ブルームバーグ・インテリジェンス(BI)のデータによれば、ラッセル2000指数で今年最も好調なセクターであるテクノロジーと通信サービスでは、6月の指数見直しでラッセル1000指数に昇格した企業の時価総額が最も大きかった。
シカゴ・オプション取引所(Cboe)のデリバティブ市場インテリジェンス責任者、マンディ・シュー氏は「ラッセル2000指数は従来からS&P500種よりもボラティリティーが高い」と指摘。「小型企業は大型企業に比べて負債水準が高く、事業基盤も十分に確立されていないためだ」と説明した。
原題:Yields Enter the Danger Zone for Risky Corner of Stock Market(抜粋)
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