韓国株への投資は今年、大きなリターンをもたらしてきた。一方、その過程では、激しい値動きが見られた。

韓国総合株価指数(KOSPI)のリターンボラティリティーは60%を超え、日経平均株のほぼ2倍に達し、暗号資産(仮想通貨)ビットコインさえ上回っている。

こうした急激な相場変動を受け、韓国取引所は急落や投資家心理の混乱を防ぐために売買を一時停止するサーキットブレーカーを今年、7月中旬までに7回発動した。2025年は発動がなく、2024年も1回のみだった。

韓国株が前例のないボラティリティーに見舞われている背景には、幾つかの要因がある。

サムスン電子とSKハイニックスのウエート

韓国株の乱高下を主導しているのは、サムスン電子とSKハイニックスの2社だ。両社は次世代AIシステムに必要な半導体メモリーを供給しており、利益が急拡大している。

AIブームを背景に両社の株価は急騰し、現在では2社だけでKOSPI構成比の50%余りを占める。2社のグループ上場関連会社を加えると、その比率はさらに高まる。

その結果、KOSPIに連動するファンドは実質的にAIを巡る巨大な賭けとなっている。6月後半にKOSPIが過去最高値で取引を終えた日も、構成銘柄831銘柄のうち650銘柄以上が実際には下落していた。

AI関連企業のバリュエーションは、投資家心理の変化に大きく左右される。AIプラットフォームやデータセンターには数千億ドル規模の資金が投じられている。その背景にあるのは、革新的なテクノロジーが膨大な利益を生み出すとの期待だ。

ただし現時点では、AIは構築コストを賄えるほどの売上高をエンドユーザーから生み出せていない。

レバレッジETF

レバレッジ上場投資信託(ETF)は韓国で非常に人気が高い一方、リスクも極めて大きい。デリバティブ(金融派生商品)や借り入れを活用し、原資産や指数の日次リターンを2倍程度に増幅する仕組みが一般的だ。

その複雑さとリスクの高さから、世界の多くの市場では主にプロのトレーダーや機関投資家が利用している。しかし韓国では、十分な金融知識を持たないことも多い個人投資家が、自己資金を用いて積極的に売買している。

韓国のレバレッジETFブームは2010年に始まった。サムスン・アセット・マネジメントが当時、KOSPI200指数の値動きを2倍にする「KODEXレバレッジ」を投入した。

同社と韓国メディアは、これをアジア初のレバレッジETFとしている。その後10年以上にわたり、韓国のレバレッジETF市場は主に幅広い株価指数に連動する商品が中心だった。

韓国株式市場はAI主導の半導体銘柄値上がりを背景に急騰してきた。しかし、極端なボラティリティーとサムスン電子とSKハイニックス2社への過度な依存は、バブル崩壊のリスクを抱えている可能性がある

韓国の金融当局は2025年、海外レバレッジETFへの個人投資家の資金流入を抑制しようとするなどリスクを認識していた。しかし今年、サムスン電子とSKハイニックスの株価に連動するレバレッジETFを十数本新たに認可した。その90%を個人投資家が保有している。

市場を不安定化させるとの懸念が高まる中、当局は7月16日、個別株レバレッジETFの新規上場を一時停止すると発表した。

最近では時価総額4兆ドル(約650兆円)規模に膨らんだ市場の日次売買代金の70%以上をこれらETFおよび対象となる2社の株式が占めている。

レバレッジETFは原資産である2銘柄の値動きを増幅。世界的にAI関連取引の勢いが鈍る中、こうしたETFは現在、設定時の価格を下回っている。

個人投資家

韓国では以前から個人投資家による株式投資が盛んだったが、サムスン電子とSKハイニックスを中心としたAIブームが投資熱を一段と高めた。

韓国の個人投資家は今年、KOSPI構成銘柄に100兆ウォン(約11兆円)余りを投じた。この資金流入は両社の資本コストを押し下げ、大規模な設備投資計画を支えている一方、株価のボラティリティーを拡大させている。

売り手は主に海外投資家だ。特にファンドマネジャーは、保有ポートフォリオがサムスン電子とSKハイニックスの2社に偏り過ぎないよう持ち高を減らす必要がある。今年に入り海外投資家は約1080億ドル相当のKOSPI株を売却し、このうちSKハイニックスからは400億ドル以上が流出した。

機関投資家は業績が一時的に悪化した企業でも保有を続ける傾向が強く、熱狂的な相場展開でも企業の本源的価値をより冷静に見極めることが多い。

韓国の個人投資家は高いリターンを求め、積極的にリスクを取る傾向がある。彼らは一斉に行動する習性から、韓国で「アリ」と呼ばれている。株価が下落するとパニック売りが連鎖し、逆に上昇すると乗り遅れを恐れた個人投資家による高値追いの買いが広がりやすい。

レバレッジETFの急拡大は、こうした状況をさらに悪化させている。

ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストらは6月後半、韓国の指数連動型および個別株連動型レバレッジETFへの運用資産残高が年初の50億ドルから400億ドル超へ急増したと説明。別の7月5日付リポートでは、「レバレッジETFは監視すべき最大のリスクだ」と指摘した。

信用取引による借入金残高は6月のピークからここ数週間で減少したものの、依然として前年を大きく上回る水準にある。借入資金によって株価が押し上げられた市場では、株価が下落し始めた際にパニック売りが発生するリスクが高まる。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツのポートフォリオマネジャー、ゲーリー・タン氏は、「レバレッジが第2四半期(4-6月)のメモリー関連銘柄上昇の大きな原動力だったことを踏まえると、底打ちの判断にはなお慎重でありたい」と述べた。

原題:Why Korea Stock Index Is More Volatile Than Bitcoin: Explainer(抜粋)

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